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水分補給で脳を守る?高齢者の脱水・物忘れ・認知機能の関係
高齢者の水分不足は物忘れの原因?認知機能と水分補給の関係
「最近、ぼんやりしている時間が増えた」
「以前より物忘れが目立つ」
「暑くないのに元気がない」
高齢のご家族に、このような変化を感じたことはありませんか。
年齢のせい、認知症の始まりと考えてしまう方も多いですが、
実は「水分不足」が関係している場合があります。
高齢者は、のどの渇きを感じにくくなります。
そのため、自分では大丈夫と思っていても、
知らないうちに脱水に近い状態になることがあります。
2025年に発表された日本の研究では、介護施設に入所している
高齢者を対象に、水分摂取と認知機能の関係が調べられました。
その結果、適度な水分摂取は認知機能の改善と関連し、
脳の血流にも関係する可能性が示されました。
今回は、高齢者の水分補給と物忘れ、認知機能の関係について、
一般の方にも分かりやすく解説します。
【高齢者の脱水と認知機能|水分不足で頭が働きにくくなる】
水分は、体温調節や血液の流れ、腎臓の働きに欠かせません。
そして脳にとっても、とても大切です。
脳は血液から酸素や栄養を受け取って働いています。
水分が不足すると血液の流れが悪くなり、
脳に十分な酸素や栄養が届きにくくなる可能性があります。
その結果、集中力が落ちる、反応が鈍くなる、
ぼんやりする、物忘れが増えるといった変化が出ることがあります。
高齢者は特に脱水になりやすいです。
理由として、のどの渇きを感じにくい、筋肉量が減る、
体内にためられる水分が少ない、利尿薬を使っている、
などが挙げられます。
また、トイレが近くなるのを嫌がって、
水分を控えてしまう方も少なくありません。
しかし水分不足は、認知機能だけでなく、
便秘、尿路感染、転倒、せん妄の原因にもなります。
せん妄とは、急に意識がぼんやりしたり、
話がかみ合わなくなったりする状態です。
高齢者では、脱水や感染をきっかけに起こることがあります。
【水分摂取量の目安|多ければ多いほどよいわけではない】
今回の研究では、33人の高齢者を対象に、
日々の水分摂取量と認知機能の変化が調べられました。
認知機能はMMSE-Jという検査で評価されました。
MMSE-Jとは、記憶、見当識、計算、言葉の理解などを調べる、
認知症診療でよく使われる検査です。
研究では、水分摂取量が一定の範囲内では、
多いほどMMSE-Jの改善と関連していました。
特に、除脂肪体重1kgあたり42mL未満の範囲では、
水分摂取が多いほど認知機能の改善がみられました。
除脂肪体重とは、体重から脂肪を除いた部分です。
平均的には、この42mLという値は1日約1500mLに相当しました。
つまり、この研究では「1日1500mL程度」が一つの目安になりました。
ただし、水分は多ければ多いほどよいわけではありません。
心不全、腎不全、むくみがある方では、
水分を摂りすぎると体に負担がかかることがあります。
実際にこの研究でも、一定量を超えた方では、
認知機能の改善がみられない例がありました。
大切なのは「不足を避けること」と「摂りすぎないこと」です。
持病がある方は、主治医に相談しながら水分量を決めましょう。
【認知症予防と水分補給|家族ができる生活の工夫】
水分補給は、特別な道具がなくても始められる認知機能対策です。
ただし、高齢者に「水を飲んで」と言うだけでは、
なかなか続かないこともあります。
朝起きた時、食事の前後、薬を飲む時、入浴の前後、
寝る前など、生活の中に水分補給のタイミングを作ると効果的です。
水だけでなく、お茶、麦茶、汁物、ゼリーなども活用できます。
ただし、糖分の多いジュースやスポーツ飲料は、
糖尿病や肥満のある方では注意が必要です。
また、カフェインを多く含む飲み物は利尿作用があり、
人によっては尿が増えることがあります。
高齢者では、本人が脱水に気づきにくいため、
家族や介護者の観察も大切です。
口の中が乾いている、尿の色が濃い、便秘が続く、
急に元気がない、ぼんやりしている場合は注意しましょう。
特に夏場や発熱時、下痢、食事量が少ない時は、
脱水になりやすくなります。
また、急な物忘れや意識の変化がある場合は、
認知症と決めつけず、脱水、感染、薬の影響も考える必要があります。
水分補給は、認知症を完全に防ぐ魔法ではありません。
しかし、脳の血流を守り、体調を安定させるための、
とても身近で大切な生活習慣です。
まとめ
高齢者は、のどの渇きを感じにくく、脱水になりやすい特徴があります。
水分不足は、ぼんやりする、集中できない、物忘れが増えるなど、
認知機能の低下に関係する可能性があります。
最新研究では、適度な水分摂取がMMSE-Jの改善と関連し、
脳の血流指標にも良い変化がみられました。
一方で、心不全や腎臓病がある方では、
水分の摂りすぎに注意が必要です。
「1日1500mL程度」は一つの目安ですが、
体格、病気、薬、季節によって適量は変わります。
高齢者の物忘れやぼんやり感が気になる時は、
認知症だけでなく、水分不足にも目を向けてみましょう。
シーサー通り内科リハビリクリニックからのお知らせ
那覇市・浦添市・沖縄県で、物忘れ、認知症予防、
脱水、高齢者の体調不良、生活習慣病でお困りの方は、
シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。
当院では、内科・脳神経内科・リハビリの視点から、
認知症、脳卒中予防、脱水、フレイル、生活習慣病を
総合的に診療しています。
「最近ぼんやりしている」
「水分をどれくらい摂ればよいか分からない」
「物忘れが認知症なのか心配」
という方も、お気軽にご相談ください。
引用文献
Hoshi H, Kakubari Y, Moriya E, Shinada K, Shigihara Y.
Effect of fluid intake on cognitive function in older individuals:
A prospective study.
PLOS ONE. 2025;20(10).
