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脳出血の原因・初期症状と治療法を専門医がやさしく解説
命を守るために知っておきたい「脳出血」の正しい知識
脳出血の原因とメカニズム
脳出血は、脳の中にある細い血管が破れて出血し、脳の細胞を圧迫・破壊する病気です。
「脳卒中」の一種で、特に突然発症しやすく命に関わる重大な疾患です。
最も多い原因は高血圧です。長年の高血圧により血管がもろくなり、ある日突然破れてしまうのです。
そのほかにも、脳動脈瘤の破裂、血液の病気、抗凝固薬の影響、過労やストレスも誘因になります。
特に40〜60代の男性に多く、「未治療の高血圧」や「過重労働」がリスク因子として注目されています。
脳出血の症状と早期発見のポイント
脳出血は、出血する部位によって症状が異なりますが、以下のような症状が急に現れるのが特徴です。
- 片側の手足が動かない(片麻痺)
- ろれつが回らない、言葉が出ない(構音障害)
- 激しい頭痛と吐き気
- 意識がもうろうとする、昏睡
- 視野の障害やめまい
これらの症状が突然発症することが脳出血の大きな特徴です。
特に「ろれつが回らない」「片側の手足が急に動かなくなった」などがあれば、すぐに救急車を呼ぶことが命を救う行動になります。
治療と再発予防の最前線
脳出血の治療は、出血の場所と大きさによって異なります。基本は「内科的治療」が中心で、血圧・体温・血糖の厳格な管理が重要です。
最新の研究(INTERACT3試験)では、次のような「ケアバンドル」によって機能回復が促進されることが示されました:
- 治療開始から1時間以内に収縮期血圧を140mmHg未満へ
- 高血糖・発熱の早期是正
- 抗凝固薬の速やかな中止
また、出血量が多いケースや脳の圧迫が強い場合には、開頭減圧術などの手術が検討されます。
ただし、重症例における手術の有効性には限界もあり、個別の評価と方針が重要です。
再発予防では、何よりも高血圧のコントロールが最重要課題です。
特に、未治療の高血圧患者は再発率・死亡率が高いことが示されており、治療の継続が必要です。
まとめ:脳出血は“予防と初動”が命を左右します
脳出血は突然発症し、重篤な後遺症や命に関わる危険性があります。
しかし、高血圧の治療や生活習慣の見直しによって発症リスクは大きく下げられます。
次のような方は、ぜひ一度専門医の受診をおすすめします。
- 血圧が高いのに放置している
- 健診で「要経過観察」と言われたまま
- 家族に脳卒中の人がいる
- 最近、頭痛やふらつきが増えた
日頃からの健康管理と、「おかしいな」と思った時の素早い受診が、将来の命と生活の質を守る鍵です。
当院の取り組み
当院「シーサー通り内科リハビリクリニック」では、脳出血の予防・早期対応に力を入れています。
- 脳卒中専門医・指導医が常駐
- GE社製CTによる頭部スキャンで微小出血や脳萎縮も評価可能
- 脳神経超音波検査(TCD)・頸動脈エコーなども対応
- AI支援型胸部レントゲン・Web予約・オンライン診療対応
- 再発予防のための生活習慣指導・血圧管理・禁煙外来も実施中
一人ひとりのリスクに合わせた医療を、温かく丁寧にご提供します。
脳出血予防に不安のある方は、お気軽にご相談ください。
【参考文献】
- Ma L, et al. Lancet. 2023. INTERACT3 trial
- Beck J, et al. Lancet. 2024 May. SWITCH study
- Ozawa T, et al. Hypertens Res. 2025;48(4):1575-1585.
- Butcher KS, et al. JAMA Neurol. 2025.
- 守田祐作ら. BMJ Open. 2023;13:e074465.
- JAMA Network Open. 2024;7:e243208(SSRI+OACの出血リスク)
