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くも膜下出血を防ぐには|未破裂脳動脈瘤の検査と治療のポイント

くも膜下出血とは?突然起こる“ハンマー頭痛”の正体

くも膜下出血とは、脳を包む「くも膜」の下にある血管が破れて出血する病気です。
出血の多くは、脳動脈瘤(血管のこぶ)が破裂することで発生します。

発症すると「ハンマーで殴られたような激しい頭痛」が突然起こります。
悪心・嘔吐、意識障害、項部硬直(うなじが硬くなる)などの症状を伴い、救命処置が必要な緊急疾患です​。

破裂後6時間以内は再出血のリスクが最も高く、処置が遅れると死亡率が急上昇します。
治療が間に合っても、脳血管れん縮や水頭症などの合併症に注意が必要です。

CT検査は発症直後に90%以上の精度で診断可能であり、必要に応じて腰椎穿刺や脳血管撮影(DSA)を行います。

未破裂脳動脈瘤とは?誰でも持っている可能性のある“時限爆弾”

未破裂脳動脈瘤とは、まだ破れていない状態の脳の血管のこぶです。
成人の2〜6%、つまり100人に数人が未破裂動脈瘤を持っているとされます​。

破裂リスクは年間0.95%ほどとされますが、以下の因子で上昇します:

  • 大きさが5mm以上
  • 喫煙・高血圧・飲酒
  • 家族歴(親族がくも膜下出血)
  • 多発性嚢胞腎などの遺伝性疾患

特に多発性嚢胞腎(ADPKD)やEhlers-Danlos症候群などの遺伝性疾患を持つ方は、若年でも破裂リスクが高く、定期的な画像検査が推奨される場合があります。

ただし、すべての未破裂動脈瘤に対して手術を行うわけではなく、破裂リスクと手術リスクを比較し、個別に判断します。

心理的な影響も大きく、診断後には不安や抑うつ傾向がみられるため、メンタルケアも重要です。

くも膜下出血と未破裂脳動脈瘤の予防と治療法

破裂を防ぐには、血圧のコントロールと禁煙が最も重要です。
特に高血圧がある場合は、日頃から140/90mmHg未満を目指す治療が必要です。

動脈瘤の破裂を防ぐ治療法には以下の2つがあります:

  • コイル塞栓術(カテーテルで動脈瘤の中を埋める)
  • クリッピング術(開頭して動脈瘤の根元を金属クリップで止める)

現在は、低侵襲なカテーテル治療(血管内手術)が主流です。
ただし、動脈瘤の形や場所によっては、開頭手術のほうが適している場合もあります。

また、近年の研究では、特定の降圧薬・スタチン・糖尿病薬が破裂リスクを下げる可能性が報告されています​。

【まとめ】くも膜下出血を防ぐにはリスクの“見える化”が鍵

くも膜下出血は発症すれば命に関わる重大な疾患ですが、予防可能な病気でもあります

特に、以下のような方は一度検査を検討しましょう:

  • ご家族にくも膜下出血の方がいる
  • 高血圧・喫煙・大量飲酒の習慣がある
  • 多発性嚢胞腎などの遺伝性疾患がある

くも膜下出血の治療成績は、早期発見と治療のスピードで大きく左右されます。
「頭が割れるように痛い」「突然意識を失った」などの症状があれば、迷わず救急車を呼んでください。

当院のご案内

シーサー通り内科リハビリクリニックでは、以下の体制で未破裂脳動脈瘤やくも膜下出血の早期発見・予防・再発防止に取り組んでいます:

  • 神経内科・脳神経超音波の専門医による診療体制
  • GE社製CTを用いた精密な頭部スキャン(くも膜下出血・脳萎縮も評価可)
  • 頸動脈・TCD(経頭蓋ドプラ)検査による血流の評価
  • AI支援胸部X線による合併症リスクの早期発見
  • 生活習慣病管理、禁煙・高血圧・高脂血症外来も対応可

また、LINE予約・オンライン診療も活用し、通いやすさにも配慮しています。
お気軽にご相談ください。

【参考文献】

  • Neurology. 2024;102:e209479.
  • Neurology. 2025;104(3):e213348.
  • JAMA Neurology. 2024. doi:10.1001/jamaneurol.2024.2021
  • Wessels L, et al. JAMA Neurology. 2024
  • BMC Med Imaging. 2025 Mar 28;25(1):103