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肺炎球菌ワクチンとは?高齢者が接種すべき理由と最新情報を専門医が解説
【肺炎球菌ワクチン】高齢者と子どもを守る、重要な予防接種
なぜ肺炎球菌ワクチンが必要なの?
肺炎は日本人の死亡原因の第5位に位置しており、その多くを65歳以上の高齢者が占めています。
とくに「肺炎球菌」による肺炎は重症化しやすく、命に関わることもあるため注意が必要です。
肺炎球菌は、健康な人の喉や鼻にも存在しますが、体力や免疫力が落ちたときに肺炎や髄膜炎、敗血症などの重篤な感染症(IPD)を引き起こすことがあります。
こうした感染症を予防するために、肺炎球菌ワクチンの接種が推奨されています。
肺炎球菌ワクチンの種類と特徴
現在、日本で使用されている肺炎球菌ワクチンには2つのタイプがあります。
PPSV23(23価莢膜多糖体ワクチン)
- 23種類の肺炎球菌に対応
- 主に高齢者や慢性疾患のある方向け
- 定期接種(公費助成)の対象
PPSV23は広い血清型をカバーしており、重症化の予防に効果があるとされています。
韓国での大規模研究でも、重大な副反応との関連性はなく、安全性が確認されています(JAMA Netw Open 2024)。
PCV(結合型ワクチン:PCV13・PCV15・PCV20)
- 小児への定期接種に使用
- 免疫応答を引き起こしやすい
- 脳炎や髄膜炎などの重篤な感染症の予防に有効
特にPCV13は、導入以降0〜1歳児の侵襲性肺炎球菌感染症の発症を大幅に減少させました。
今後はPCV15やPCV20など、より多くの血清型をカバーする新型ワクチンの活用が進んでいくと考えられています。
接種の対象となる人とタイミング
肺炎球菌ワクチンは、次のような方に接種が推奨されています。
- 65歳以上の高齢者(公費での定期接種対象)
- 慢性の心疾患・肺疾患・糖尿病などがある方
- 免疫力が低下している方(がん治療中、透析中など)
- 5歳未満の乳幼児(定期接種)
また、肺炎球菌ワクチンはインフルエンザワクチンとの同時接種も可能です。
感染リスクが高まる冬場に向けて、秋からの接種が望まれます。
【まとめ】肺炎球菌ワクチンは命を守る「備え」です
高齢者や持病のある方は、肺炎球菌による感染で重症化しやすく、命に関わることもあります。
ワクチン接種は、そのリスクを大幅に減らす有効な手段です。
新型コロナウイルスの影響が落ち着く中、感染症の流行は再び増加傾向にあります。
ワクチンの重要性が改めて見直されている今、ぜひご自身やご家族の健康を守るための一歩を踏み出してください。
当院でのワクチン接種のご案内
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、以下の体制で肺炎球菌ワクチン接種を行っています。
- 医師が個別に適応やタイミングを丁寧に説明
- PPSV23ワクチン常備(公費・自費ともに対応)
- 他ワクチンとの同時接種も可能
- LINE予約・WEB問診でスムーズに接種可能
ワクチン接種のご相談は、当院までお気軽にご連絡ください。
【参考文献】
- JAMA Netw Open. 2024;7:e2352597
- 感染症学雑誌 2010;84:33–41
- J Infect Chemother 2021;27:604–612
- Lancet Infect Dis 2021;21:127–136
- BMC Family Practice 2018;19:153
