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帯状疱疹は予防できる!50歳を過ぎたら考えるべきワクチン接種
【帯状疱疹ワクチン】50歳からの体を守る予防とその効果
帯状疱疹とは?増加する発症リスクと長引く痛み
帯状疱疹とは、水ぼうそうのウイルス(VZV)が体内に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して発症する皮膚と神経の病気です。
年齢とともに発症率が高まり、80歳までに3人に1人が発症するとされています。
発疹だけでなく「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれる長期間続く神経の痛みが特徴で、高齢者ほど治りにくい傾向があります。
最近では、COVID-19後やストレスをきっかけに発症するケースも報告され、現代人にとって身近な疾患といえるでしょう。
2種類の帯状疱疹ワクチンの特徴と違い
現在、日本で使われている帯状疱疹ワクチンは以下の2種類です。
生ワクチン(従来型ワクチン)
- 50歳以上が対象
- 1回接種で済む
- 効果は接種から5〜10年で徐々に低下
- 免疫が低下している人は接種できない
生ワクチンの接種初年度の発症予防効果は約67%ですが、10年後には15%前後にまで下がるという報告があります(BMJ, 2023)。
シングリックス(組み換え不活化ワクチン)
- 50歳以上が対象
- **2回接種(2か月間隔)**が必要
- 免疫力が落ちた方や抗がん剤治療中の方も接種可
- 発症予防効果は97.2%(50歳以上)、89.8%(70歳以上)
- 効果が9年以上持続すると報告あり
副反応として、注射部位の痛み(78%)、筋肉痛・倦怠感などの全身症状がありますが、いずれも数日以内におさまることが多いとされています。
ワクチン接種で認知症予防にも?
驚くべきことに、帯状疱疹ワクチン接種が認知症の発症を約20%減らす可能性があるとする最新研究もあります(Nature, 2025)。
これは大規模な自然実験に基づいた研究で、ウイルスの再活性化を防ぐことで慢性炎症や神経変性を抑える可能性が示唆されています。
つまり帯状疱疹の予防だけでなく、「脳を守るワクチン」としての役割も期待されているのです。
【まとめ】帯状疱疹の痛みを防ぎ、将来の健康も守るために
帯状疱疹は一度かかると長引く痛みや合併症に苦しむ人が多く、予防の重要性がますます高まっています。
以下のような方はワクチン接種を積極的に検討しましょう。
- 50歳以上の方(特に女性に多い)
- 過去に帯状疱疹にかかったことがある方
- 抗がん剤やステロイド治療を受けている方
- 糖尿病、慢性肺疾患などの基礎疾患がある方
- 認知症リスクが気になる方
「痛みを経験してからでは遅い」と言われる帯状疱疹。
予防こそが最善の治療です。
当院での帯状疱疹ワクチンのご案内
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、以下の体制でワクチン接種を行っています。
- 「シングリックス®」の2回接種に対応(原則2か月間隔)
- ご希望の方には従来型ワクチンもご案内可能
- ワクチンの選び方や副反応について、専門医が丁寧に説明
- 他ワクチンとの接種スケジュールも相談可能(インフルエンザ、肺炎球菌など)
- LINE予約・WEB問診・オンライン診療にも対応しています
お気軽にスタッフまでお問い合わせください。
【参考文献・情報】
- Lal H, et al. N Engl J Med. 2015;372(22):2087–2096
- Cunningham AL, et al. N Engl J Med. 2016;375(11):1019–1032
- Klein NP, et al. BMJ. 2023;383:e076321
- Zerbo O, et al. Ann Intern Med. 2024 Jan 9
- https://doi.org/10.1038/s41586-025-08800-x
