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一般内科多発性硬化症・視神経脊髄炎脳神経内科

視神経脊髄炎とは?症状・原因・治療法をやさしく解説

視神経脊髄炎とは?見えにくさやしびれから始まる神経の病気

視神経脊髄炎(NMOSD)という名前を聞いたことがありますか?
あまり馴染みのない病名ですが、視力の低下や手足のしびれなど、
身近な症状から始まることもある自己免疫性の神経疾患です。

この記事では、視神経脊髄炎の基本的な情報から、診断・治療・生活の注意点まで、
一般の方にもわかりやすく解説します。

視神経脊髄炎とは?〜原因と特徴を知ろう〜

視神経脊髄炎は、視神経や脊髄に炎症を起こす病気で、正式には
「視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)」と呼ばれます。

この病気は、免疫の異常によって体の神経を自分で攻撃してしまう
「自己免疫疾患」に分類されます。

特に注目されているのが、「AQP4抗体(アクアポリン4抗体)」という物質で、
この抗体が脳や脊髄の一部にある“水の通り道”を攻撃することが原因とされています。

AQP4抗体が陽性であればNMOSDの診断が強く疑われますが、
中には抗体が陰性でも発症するタイプもあります。

MS(多発性硬化症)と症状が似ているため、専門的な検査による鑑別が非常に重要です。

どんな症状が出るの?〜視覚・運動・感覚に注意〜

視神経脊髄炎は、視神経や脊髄に炎症を起こすことで、以下のような症状が現れます。

視神経の炎症(視神経炎)

  • 視力が急に低下する
  • 視界がかすむ・ぼやける
  • 光を見ると痛い(眼球の奥が痛む)

片目だけの場合もあれば、両目に影響することもあります。
放置すると失明のリスクがあるため、早期の対応が重要です。

脊髄の炎症(脊髄炎)

  • 手足のしびれ・脱力・歩行障害
  • 排尿や排便のコントロールが難しくなる(膀胱直腸障害)
  • 背中や胸に締め付けられるような痛み

脊髄の広い範囲に炎症が広がることがあり、強い障害が残る可能性もあります。

その他の症状

  • 吐き気・嘔吐・しゃっくりが続く(延髄の障害)
  • 発熱や倦怠感など、全身の不調

このように、視覚・運動・感覚・内臓機能に関わる多彩な症状があり、
「複数の神経に異常が起きる」ことがNMOSDの特徴です。

診断と治療〜再発を防ぐことが最大のカギ〜

視神経脊髄炎は、早期発見・早期治療によって、後遺症や再発のリスクを減らすことができます。

診断方法

  • MRI:視神経や脊髄に炎症があるかを確認します。
  • 血液検査:AQP4抗体やMOG抗体(まれな関連疾患)を調べます。
  • 髄液検査:他の病気(MSなど)との区別に役立ちます。

特に、AQP4抗体の有無は診断と治療方針の決定に重要です。

急性期の治療

再発時や発作が起きたときには、**ステロイド点滴(ステロイドパルス療法)**を用いて炎症を抑えます。
重症例では、血漿交換療法(免疫の原因物質を血液から除去)を行うこともあります。

再発予防のための治療

NMOSDは再発を繰り返すことで障害が進行する病気です。
そのため、「再発を防ぐ」ことが治療の中心になります。

現在、以下のような薬が使用されています。

  • ステロイド(内服):炎症を抑える
  • 免疫抑制薬(アザチオプリン、ミコフェノール酸)
  • モノクローナル抗体製剤
     ・サトラリズマブ(エンスプリング)
     ・イネビリズマブ(ユプリズナ)
     ・リツキシマブ(未承認または適応外使用)

これらの薬は、それぞれ作用の仕組みや副作用が異なるため、
専門医が慎重に選択し、副作用の管理や定期検査を行いながら使用します。

生活上の注意点〜安心して暮らすために〜

NMOSDの患者さんは、再発予防と生活の質(QOL)向上の両方が大切です。

  • 疲れをためない(過労は再発リスクを高めます)
  • 感染予防を徹底する(免疫抑制薬を使用中の場合)
  • 適度な運動とリハビリで体力を維持
  • ストレスをためない工夫も大切

当院では、脳神経内科専門医と理学療法士が連携し、
再発予防の治療に加えて、神経リハビリテーションによる機能回復支援も行っています。

まとめ:視神経脊髄炎は早期診断と再発予防がカギ

視神経脊髄炎(NMOSD)は、早期に発見し、再発を防ぐ治療を継続することが最も重要な病気です。
視力や運動機能に関わる重大な症状があるからこそ、正確な診断と専門的な治療の継続が求められます。

「最近、見えにくい」「手足がしびれる」「トイレが間に合わない」など、
心当たりのある方は、早めの受診をおすすめします。

【参考文献・引用】

  • 日本神経学会「視神経脊髄炎診療ガイドライン 2022」
  • Neuromyelitis Optica Study Group
  • Mayo Clinic Neurology Updates on NMOSD

当院のご案内

シーサー通り内科リハビリクリニックでは、視神経脊髄炎(NMOSD)の診断から、
ステロイドや抗体療法による再発予防治療神経リハビリテーションによる機能回復まで、
総合的なケアを提供しています。

AQP4抗体検査やMRI、日常生活支援、外来フォローも万全です。