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一過性脳虚血発作のあとも安心できない?長期脳卒中予防の重要性
脳卒中は初回だけじゃない?TIAや軽度脳卒中の“その後”に迫る
軽度な症状で済んだと思われがちな「一過性脳虚血発作(TIA)」や「軽度脳卒中」。
しかし、最新の大規模研究によって、その後10年間にわたって脳卒中の再発リスクが持続することが明らかになりました。
これは2025年にJAMA誌で発表された、38の研究を統合した171,068人分のデータに基づくメタアナリシスによるものです。
再発リスクは10年続く:最初の90日が特に危険
研究によると、TIAや軽度脳卒中の後、最初の1年以内の再発率は5.9%。
その中でも初めの90日間に約60%の再発が集中しており、特に注意が必要です。
しかし、それ以降も安心はできません。
2年目から5年目までは毎年1.8%、6年目から10年目でも1.7%ずつ、再発リスクは続きます。
結果として、10年で約20%の人が再発しています。
☑︎ ポイントまとめ
- TIA・軽度脳卒中後90日以内の再発率:16%
- 5年間の累積再発率:12.5%
- 10年間の累積再発率:19.8%
障害や死亡のリスクも無視できない
再発だけでなく、TIAや軽度脳卒中の影響は長期にわたって続きます。
例えば、脳卒中を再発しなかった患者でも、10年後には42.6%が何らかの後遺症(機能障害)を持つことがわかっています。
また、全体の10年後死亡率は35.1%。しかもそのうち、脳卒中による死亡は約12%にとどまり、残りは他の病気によるものでした。
これは、心臓病や糖尿病といった他の生活習慣病との関係が深いことを示しています。
再発予防には“長期的なフォロー”がカギ
日本ではTIAや軽度脳卒中の診断後、90日程度で通院フォローが終了し、あとはかかりつけ医に任せるケースも多く見られます。
しかし今回の研究は、1年以上にわたる継続的な管理の必要性を明確に示しています。
▽ 長期的な脳卒中予防のポイント
- 血圧・血糖・コレステロールなどのリスク因子の継続的な管理
- 抗血小板薬などの内服治療の継続とその適切な調整
- 運動・食事・禁煙といった生活習慣の見直し
- 定期的な脳・心血管のチェック(例:頸動脈エコーなど)
まとめ:軽度な発作でも“油断は禁物”
TIAや軽度脳卒中は、たとえ一度の発作が軽くても、“警告”にすぎない可能性があります。
放置せず、長期的な視点で再発予防に取り組むことが、将来の生活の質を守るために非常に大切です。
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気になる方は、お気軽にご相談ください。
Writing Committee for the PERSIST Collaborators. JAMA. 2025 Mar 26.
