ブログ
「たった15分の歩行」が認知症予防に効果あり?パーキンソン病最新研究
パーキンソン病と認知症を防ぐ「一日15分の歩行」
~台湾の研究が示す、シンプルな脳の守り方~
パーキンソン病は、体の動きがぎこちなくなったり、手が震えたりする神経の病気です。しかし、こうした運動症状だけでなく、「認知症」のリスクが高まることも知られています。
最新の研究で、たった15〜30分のウォーキングが、この認知症のリスクを下げる可能性があることが示されました。この記事では、その研究結果をわかりやすく解説します。
少しのウォーキングでも認知症のリスクが下がる
2025年に発表された台湾の研究では、パーキンソン病を持つ470人の方を対象に、認知症への進行リスクと「歩く頻度」との関係を長期間にわたって追跡しました。
この研究では「最小限の運動(Minimal Amount of Exercise:MAE)」として、
1回につき1500〜3000歩、または15〜30分のウォーキングを定義。
参加者を以下の3グループに分けて比較しました。
- まったく歩かない(MAEなし)
- 週に1〜2回歩く(MAE週1〜2)
- 週に3回以上歩く(MAE週3以上)
結果は明らかでした。
週に1〜2回歩いた人は、まったく歩かない人よりも約31%認知症になりにくく、
週に3回以上歩く人では約41%もリスクが低下していました。
つまり、特別な運動や器具を使わずとも、少しの歩行を習慣づけるだけで、大きな差が生まれる可能性があるのです。
なぜ歩くと脳にいいの?7つの理由
「歩くだけで本当に脳が守れるの?」と疑問に思うかもしれません。研究チームは、ウォーキングが脳に良いとされる理由を次のように説明しています。
- 脳への血流アップ:歩くことで心臓がポンプのように動き、脳への酸素や栄養の供給が増えます。
- 脳細胞の活性化:運動は「神経新生」や「シナプスのつながり」を促し、記憶力や集中力を保ちます。
- ミトコンドリア機能の改善:細胞の“発電所”であるミトコンドリアを活性化し、脳の老化を防ぎます。
- 炎症の抑制:歩くことで体内に「抗炎症物質(インターロイキン10など)」が分泌され、脳の炎症を抑えます。
- ストレスと不安の軽減:ウォーキングでエンドルフィンが出て、気分が明るくなります。
- 睡眠の質向上:睡眠中に脳内の老廃物(例:アミロイドβ)が排出されやすくなり、認知症の予防に。
- 社会的つながり:一緒に歩く仲間がいると、会話や笑顔が増え、孤独やうつの予防にも。
これらの効果が重なり合い、ウォーキングが脳の健康を守る「最強の予防薬」になると考えられています。
無理のない歩行習慣で未来を守ろう
この研究で特に注目すべきは、「毎日でなくても効果がある」という点です。
週にたった1〜2回の短時間のウォーキングでも、認知症のリスクが明らかに下がっていたのです。「外に出るのが面倒」「足が重くて」と感じている方にも、励みになるデータではないでしょうか。
また、医師から運動を制限されていない限り、屋内での軽い足踏みや、廊下の往復でもOKです。「歩く」ことをできる範囲で無理なく続けてみましょう。
【出典】
Wei C-Y, Tzeng R-C, Tai H-C, Su C-H, Chiu P-Y. Walking reduces the risk of dementia in patients with Parkinson’s disease: a longitudinal follow-up study. Ther Adv Neurol Disord. 2025;18:1–13.
DOI: 10.1177/17562864251330251
シーサー通り内科リハビリクリニックからのご案内
当院では、パーキンソン病をはじめとする神経疾患に対して、診断からリハビリテーション、運動指導まで一貫したサポートを提供しています。
ニューロリハビリや認知機能のトレーニングに特化した機器も導入しており、「歩行の力で脳を守る」取り組みを積極的に支援しています。
那覇市で脳と体の健康を守るなら、「シーサー通り内科リハビリクリニック」へ。
▶ 詳細・予約は公式HP:https://www.shisa-clinic.com
