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「運動神経を伸ばすには?外遊びと習い事が子どもの将来を変える理由」
【外遊びと習い事が将来の運動能力を左右する】
子ども時代にどんな生活を送るかが、数年後の体の動きや運動神経に大きく関わることをご存じですか?
2025年に発表されたフィンランドの研究では、幼児期の外遊びの時間と、複数のスポーツに取り組む「多種目参加」が、3年後の運動能力を高めることがわかりました。
この研究では3〜8歳の子どもたち627名を対象に、3年後(6〜11歳)までの運動能力の変化を追跡しました。
その結果、外で遊ぶ時間や複数のスポーツを経験していた子どもは、運動能力の指標である「基本的な動き」のテストで明らかな差を示したのです。
【多種目スポーツで運動神経がグンと伸びる】
研究では「跳ぶ・走る」などの移動能力(LMS)、「投げる・ドリブル」などの道具操作能力(OCS)、両方を合わせた基本運動能力(FMS)を測定しました。
特に2つ以上のスポーツに取り組んでいた子どもたちは、いずれのスキルにおいても平均より優れた結果を示しました。
1つのスポーツだけでも一定の効果はありましたが、運動能力全体を伸ばすには、複数の異なる動きを含むスポーツの経験が鍵となります。
たとえば、サッカーで脚の動きを学び、バスケットボールで手と目の連携を鍛えることで、多様な動きが身につくのです。
親としては「うちの子に合った習い事は何か」と悩むものですが、1つに絞るよりも、季節ごとに異なるスポーツに挑戦させることが大切だといえるでしょう。
【外遊びは女の子の運動能力を引き出す】
意外にも「外でどれだけ遊んだか」も運動能力に大きな影響を与えます。
特に女の子の場合、平日に30〜60分外で遊んだ子は、「ジャンプ力」「投げる動作」「全体の動き」すべての項目で成績が良かったのです。
一方で、男の子では外遊びの時間と運動能力の関係ははっきりとは見られませんでした。
これは、男の子がもともと外で遊ぶ時間が長い傾向にあり、既に一定の運動量を確保しているためだと考えられます。
いずれにせよ、遊びの中で自然と体を使うことが、成長につながっているのは間違いありません。
近年はゲームや動画の時間が増え、外遊びが減っていると言われていますが、1日30分でも外に出て体を動かす時間を意識して作ることが、子どもの健やかな成長に寄与します。
【まとめ:無理なくできる習慣づくりがカギ】
この研究からわかることは、次の2点です。
- 複数のスポーツに取り組むことで、将来の運動能力が大きく伸びる
- 特に女の子は、日常的に外で遊ぶ時間を作ることで運動能力が高まる
運動神経の基礎は、早ければ3〜5歳ごろから形成され始めます。スポーツの英才教育というよりは、「いろんな動きを経験する」こと、「外で体を使って遊ぶ」ことが、将来の体づくりのベースになるのです。
忙しいご家庭でも、週末の公園遊びや、季節ごとのスポーツ体験など、できることから始めてみませんか?お子さんのためだけでなく、お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんの運動不足解消にもつながります。
家族みんなで外に出て体を動かす習慣をつけることは、心身の健康にとって大きなメリットです。ただし、無理のない範囲で、ケガには十分注意して楽しむことが大切です。
【参考文献】
Luukkainen N-M, Laukkanen A, Niemistö D, Sääkslahti A. Children’s outdoor time and multisport participation predict motor competence three years later. Journal of Sports Sciences. 2025;43(5):431-439. doi:10.1080/02640414.2025.2460892
