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【脳しんとう後に注意】集中力低下や不安感が続く人に共通すること
脳しんとう後の症状が長引く人の特徴とは?~最新研究からわかる3つの重要ポイント~
頭を打ったあと「なんとなく体調がすぐれない」「集中できない」と感じたことはありませんか?
それは“軽度外傷性脳損傷(mTBI)”の後に続く「持続性症状(PSAC)」かもしれません。
今回ご紹介するのは、2025年6月にJAMA Network Openに掲載された大規模な研究。
60万人近い成人を対象に、どんな人が脳しんとう後に症状が長引きやすいのかを詳しく調べました。
記事では、その中から特に重要な3つの観点をご紹介します。
【1】集中力の低下は最も重要なサイン
この研究で最もリスクが高いとされたのが、「集中しにくい」という症状です。
脳しんとう直後にこの症状があった人は、1か月後も症状が続いている確率が約3倍、
6か月後にはなんと26倍以上に跳ね上がるという衝撃の結果が示されました。
集中力の低下は見逃されやすい症状ですが、実は「長引く後遺症の予兆」である可能性が高いのです。
少しでも気になる場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
【2】不安やうつ、不眠がある人は要注意
過去に「不安障害」や「うつ病」などのメンタルヘルスの既往がある方、
あるいは「慢性的な不眠」がある方も、後遺症が長引きやすいことが分かっています。
特に3か月後の時点でこれらの症状を持つ人は、そうでない人に比べて約3倍もPSACを発症しやすいと報告されました。
「脳しんとうだから脳だけを診ればいい」と思われがちですが、
実は心の健康も大きく関係しています。
【3】「意識消失」や「記憶の混乱」は軽く見てはいけない
意識を一時的に失った(LOC:loss of consciousness)、
事故前後の記憶がはっきりしない(健忘)といった臨床的なサインも、
症状が長引く可能性を高める重要なリスク因子です。
この研究では、これらのサインを持つ人は、
そうでない人に比べて約1.9倍、長引く症状のリスクが高いと報告されています。
「軽い脳しんとうだから…」と油断せず、意識消失や記憶の抜けがある場合は必ず医師に相談しましょう。
今回のまとめ
脳しんとう後の症状が長引くかどうかは、以下のような因子に強く関係していることがわかりました。
- 集中力の低下(特に最重要)
- 不安・うつ・不眠といった既往歴
- 意識消失や健忘といった臨床サイン
これらのリスクがある方は、早期の医療的介入やリハビリ、メンタルケアが有効と考えられます。
心身の不調が長く続く場合は、「気のせい」や「気合で治す」で済ませず、専門的な評価を受けることをおすすめします。
引用文献
McIntosh SJ, Vergeer MH, Galarneau JM, et al. Factors Associated With Persisting Symptoms After Concussion in Adults With Mild TBI: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Netw Open. 2025;8(6):e2516619. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.16619
