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毎日の納豆習慣が寿命を延ばす?最新研究が示す驚きの結果を解説!

【納豆は本当に健康に良いのか?最新研究でわかった驚きの事実】

納豆は日本の伝統的な発酵食品で、健康に良いとよく言われますが、その効果は科学的に証明されているのでしょうか。今回ご紹介するのは、65歳以上の日本人男性を対象に、約15年間追跡調査を行った最新の研究結果です。この研究では、納豆をよく食べる人ほど、死亡リスクが低い傾向があることが示されました。

本記事では、「納豆と死亡リスクの関係」について、次の3つの観点から解説します。

【1. 納豆を食べる頻度と死亡リスクの関係】

キーワード:納豆、死亡率、発酵食品、長寿

この研究は、奈良県に住む65歳以上の男性2174人を対象とし、平均で12年間、最大で16年の追跡調査を行いました。納豆の摂取頻度をアンケートで調査し、その後の死亡率との関係を分析しています。

結果として、「納豆をまったく食べない人」と比べて、「週に数パック食べる人」は、死亡リスクが約40%も低い(ハザード比0.603)という結果になりました。また、「1日1パック以上食べる人」でも、リスクが約20%低下する傾向がありました(ハザード比0.786)※。

つまり、定期的に納豆を食べることが、長寿と関係している可能性があるのです。

【2. 納豆がもたらす健康効果とは?】

キーワード:ナットウキナーゼ、血栓予防、腸内環境、栄養価

納豆が健康に良いとされる理由は、栄養成分と発酵による働きにあります。特に注目されているのが、「ナットウキナーゼ」と呼ばれる酵素です。この酵素は血液中の血栓(けっせん)を溶かす作用があり、脳梗塞や心筋梗塞などの血管系の病気を予防する可能性があります。

さらに納豆には、

  • 良質な植物性たんぱく質
  • 食物繊維
  • ミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)
  • ビタミンK2(骨を強くする働き)

といった栄養素が豊富に含まれています。

また、発酵によって生まれる乳酸菌は腸内環境を整える効果があり、便秘予防や免疫力の向上にもつながると言われています。

【3. 納豆は誰でも食べた方がいいのか?】

キーワード:食生活、継続、副作用、バランスの良い食事

納豆は非常に健康に良い食品ですが、「食べれば食べるほど良い」というわけではありません。研究では、1日1パック程度がちょうど良いという傾向が見られました。ビタミンK2の作用により血液を固まりにくくする「ワルファリン(抗凝固薬)」を内服中の方については納豆は食べられません。また、どんなに納豆が良くても、他の食品を極端に減らすのは避けましょう。魚、野菜、果物などと組み合わせたバランスの良い食事こそが、健康寿命を延ばす秘訣です。

まとめ

15年にわたる日本の大規模な追跡調査により、「納豆を継続的に食べることが、死亡リスクの低下と関連している」ことが明らかになりました。特に週に数回以上食べている人では、明らかにそのリスクが低い傾向が見られました。

発酵食品としての納豆には、血栓予防、腸内環境の改善、骨の強化など、さまざまな健康効果があるとされます。毎日の食卓に納豆を取り入れて、無理なく健康寿命を延ばしてみてはいかがでしょうか。

【参考文献】

  • Fujita Y, Kouda K, Tamaki J, et al. A 15-year cohort study of self-reported fermented soybean (natto) intake and all-cause mortality in elderly men. Clin Nutr ESPEN. 2025. https://doi.org/10.1016/j.clnesp.2025.06.017
  • Nachvak SM, et al. J Acad Nutr Diet. 2019.
  • Wu H, et al. Redox Biol. 2020.
  • Nagata C, et al. Am J Clin Nutr. 2017.