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一般内科生活習慣病(高血圧・糖尿病など)

【体脂肪率で健康管理】BMIの限界と新たなリスク評価法

【BMIの限界】体重と身長だけでは測れない「本当の健康リスク」

BMI(ボディマス指数)は、身長と体重から計算される体格指数で、健康診断などでよく用いられています。
しかし、最近の研究で「BMIだけでは健康リスクを見落とす可能性がある」ことが明らかになってきました。

アメリカで行われた大規模調査によると、20〜49歳の成人において、BMIよりも体脂肪率の方が将来の死亡リスクを正確に予測できるという結果が示されました。

なぜBMIでは不十分なのか?その理由を解説していきます。

【体脂肪率で判明】BMI正常でも「肥満型リスク」

BMIは簡単に測定できる反面、「筋肉質な人も肥満と判定される」「見た目スリムでも脂肪が多い人を見逃す」などの欠点があります。

たとえば、BMIが正常でも体脂肪率が高い“かくれ肥満”の人は、心筋梗塞や糖尿病のリスクが高いとされています。
実際、今回の研究では、以下のような結果が得られました。

  • **体脂肪率が高い人の死亡リスク(15年間)**は、正常の人と比べて約1.8倍に上昇
  • BMIでは統計的な有意差なし(つまり、死亡リスクとの明確な関連が見られなかった)

これは、BMIでは“どれくらい脂肪があるか”を正確には示せないことを意味します。

【BIA測定の活用】日常診療でも可能な「体脂肪率チェック」

では、体脂肪率を測定するにはどうしたらよいのでしょうか?

医療現場では、以下の2つの方法があります。

  • DXA(デキサ)法:高精度ですが、高価で導入が難しい
  • BIA(生体インピーダンス法):簡便で安価。近年の機器進化により精度も向上

今回の研究でも、25年前のBIA測定データでもBMIより明確に死亡リスクと関連していたことが報告されました。
現在では1分程度で測定できる高性能な機器が普及しており、診療所や健診現場でも導入可能です。

さらに、体脂肪率の基準値は以下のように設定されました。

  • 男性:27%以上でリスク増
  • 女性:44%以上でリスク増

これらを基に健康指導を行うことで、将来の病気予防につながると期待されています。

【まとめ】体脂肪率で「隠れリスク」を見抜く時代へ

BMIは便利な指標ですが、それだけで健康を判断するのは不十分です。
特に20〜49歳の若年〜中年層では、体脂肪率が将来の死亡リスクを予測する上でより信頼性が高いことが今回の研究で明らかになりました。

近年は手軽に体脂肪率を測れるBIA機器が増えており、“見た目ではわからないリスク”の早期発見が可能です。

健康診断で「BMIが正常だから大丈夫」と安心せず、体脂肪率にも注目してみましょう。
とくに運動不足・ストレス・過食が気になる方は、ぜひ一度チェックしてみてください。

引用・参考文献

当院でも内臓脂肪CTなど実施可能です。お気軽にお問い合わせください。