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がん経験者は要チェック!米国がん協会の生活習慣ガイドラインで寿命が延びる?

がんを経験したあなたへ。生きる力を高める生活習慣とは?

がんの治療が一段落したあと、気になるのが「これからの生活」です。
再発を防ぎたい、元気に長生きしたい――そんな願いに応える形で、2022年に**米国がん協会(ACS)**ががん生存者向けのガイドラインを改訂しました。

そして2025年、そのガイドラインにどのくらい従っているかが、肥満に関連したがん生存者の死亡リスクにどう影響するのかを調べた最新研究が発表されました。
この記事では、その重要な内容をわかりやすく3つのポイントでご紹介します。

【1. がん生存者ガイドラインとは?健康長寿の基本が凝縮】

米国がん協会が提案する「がん生存者向けガイドライン」は、次の4つの要素を重視しています。

  • 適正な体重(BMI)を保つこと
  • 定期的に運動すること
  • 野菜中心のバランスの良い食事をとること
  • 飲酒を控えること

これらの項目に対し、研究では「0〜8点」でスコア化し、生活習慣の良さを評価しました。
点数が高いほど、ガイドラインにしっかり従っていることを意味します。

【2. スコアが高いほど長生き!死亡リスクとの関係】

この研究では、肥満関連がんと診断された非喫煙者3,742人を平均15.6年間追跡し、生活習慣スコアと死亡リスクの関係を調べました。

その結果、スコアが「6〜8点」の人は、「0〜3点」の人に比べて次のようなメリットがありました:

  • 全体の死亡リスクが24%低下
  • 心臓病による死亡リスクが33%低下
  • がんによる死亡リスクが21%低下

特に体重管理運動のスコアが高い人は、全体の死亡リスクがより低くなる傾向が強く見られました。

また、もともとスコアが低かった人でも、途中から生活習慣を改善しスコアが高くなった場合、全体の死亡リスクが下がることがわかっています。

【3. がんを経験した方に伝えたい3つの習慣改善ポイント】

この研究から、がん治療後も前向きに生活習慣を整えることで、生存率が上がる可能性が示されました。
ここでは、今日からできる3つの改善ポイントをご紹介します。

■ 適正体重を目指しましょう

BMI(体格指数)は22〜25を目安に。体重を測る習慣を持ち、目標を明確にしましょう。

■ 週150分の軽い運動を

ウォーキングやストレッチ、軽い体操などでもOKです。毎日少しずつでも継続することが大切です。

■ 野菜中心の食事+飲酒制限

野菜、果物、全粒穀物を積極的に。アルコールは週に1〜2回程度、適量に抑えましょう。

まとめ:がん後の人生に「希望のスコア」を

「がんが治ったら終わり」ではありません。
そこからの生活こそが、あなたの健康寿命を左右する大事な時間です。

米国の最新研究が示すように、運動・食事・体重・飲酒といった日々の選択が、未来を変える力を持っています。
今日から一歩ずつ、できることから始めてみませんか?

出典

Wang Y, Newton CC, McCullough ML, et al. Following the American Cancer Society guideline for cancer survivors and obesity-related cancer survival. J Natl Cancer Inst. 2025 Apr 3. doi: 10.1093/jnci/djaf051