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「放置しないで!」高血圧は初月治療で30か月後も差が出る理由
高血圧の治療、最初の1か月が勝負!最新研究からわかった重要ポイント
高血圧と診断されても、「様子を見ようかな」と治療を後回しにしていませんか?
実は、診断直後の行動が将来の血圧管理に大きな影響を与えることが、アメリカの大規模研究で明らかになりました。
この記事では、最新の医学論文をもとに、高血圧治療の「タイミング」に注目して解説します。
【初月の治療開始が血圧を安定させる】
アメリカ医師会が主導した研究によると、高血圧と診断された人が「最初の1か月以内に治療(降圧薬の服用)を始めた場合」、その後の血圧コントロールが格段に良くなることが明らかになりました。
▼主な研究結果
- 初月に治療を始めた人は、6か月後の血圧コントロール率が57.7%
- 治療を始めなかった人のコントロール率は47.8%
- この効果は30か月後まで持続
- 治療開始が早いほど、将来の脳卒中や心筋梗塞などのリスク低下が期待される
なお、ここでいう「血圧コントロール」とは、診察時の血圧が140/90 mmHg未満であることを意味します。
【なぜ早期治療が効果的なのか?】
高血圧は「沈黙の病」とも呼ばれ、自覚症状が乏しいため、治療の開始が遅れがちです。しかし、初月から治療を始めることで、次のようなメリットがあります。
● 早い段階での降圧作用
降圧薬は、数日〜数週間で血圧を下げる効果を発揮します。特に診断初期は、血圧が高く保たれているリスクが大きいため、早めの対応が重要です。
● 医師との信頼関係・通院習慣の構築
治療開始は「自分は高血圧なんだ」と実感し、生活習慣の見直しや定期的な受診にもつながります。
● 「治療の惰性」に陥りにくい
治療を先延ばしにすると、「今さら始めるのも…」と気持ちが遠のくことも。早めにスタートすることで、継続しやすくなります。
【それでも30%以上の方がコントロール不能だった理由】
ただし、治療を初月に開始した人のうち、約3割はその後も血圧が高いままだったことも事実です。
この原因として挙げられるのが「治療の強化(治療の追加・変更)が不足していた」ことです。
▼ポイントは「治療の見直し」
- 降圧薬は1種類では不十分な場合が多くあります。
- 初期治療の後も、数か月おきに血圧を再評価し、必要に応じて薬を追加・変更することが推奨されています。
- 実際、半年後に治療を見直した人の割合は約16%と低く、これが血圧コントロール不良の一因と考えられます。
【まとめ:高血圧診断後のアクションが未来を左右する】
高血圧は放置しても自然に治ることはなく、時間が経つほど心臓・脳・腎臓などにダメージが蓄積されていきます。
今回の研究は、「最初の1か月以内に治療を開始すること」が、長期的な血圧コントロールの第一歩であり、結果的に心血管疾患の予防にもつながることを明確に示しています。
【参考文献】
- Barrett RB, Riesser B, Martin B, et al. Treatment in the First Month After Hypertension Diagnosis Improves Blood Pressure Control. Hypertension. 2025;82:1129–1136. DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.124.23508
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