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一般内科生活習慣病(高血圧・糖尿病など)脳卒中

悪玉コレステロールを下げる治療で心筋梗塞・脳卒中を防ぐ方法とは?

【はじめに】

動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中の大きな原因となる「高LDLコレステロール血症」。実は、適切な治療を受けていない人が多いことが、アメリカの最新研究で明らかになりました。本記事では、高LDLコレステロールがどれほど治療されていないか、治療を強化するとどれほどの健康効果があるのかを、専門医の視点でわかりやすく解説します。

【① コレステロール治療の現状:驚くべき治療の未達成】

キーワード:スタチン未使用、LDLコレステロール、ガイドライン

アメリカの全国調査(NHANES)によると、LDLコレステロールの値が高く、薬物治療(スタチンなど)が必要とされる人のうち、実際に治療を受けているのは約23〜36%程度に過ぎません。これは、米国および欧州のガイドラインで推奨されている治療基準に大きく届いていない状況です。

たとえば、

  • 2018年米国ガイドラインでは47%が治療対象
  • 2019年欧州ガイドラインではなんと87%が治療対象
    となるにもかかわらず、現実では治療されていない人が大多数なのです。

【② 治療による効果:LDLを下げると心血管病リスクも激減】

キーワード:LDL低下、心筋梗塞、脳卒中、相対リスク減少

ガイドライン通りの治療を行うことで、LDLコレステロールは平均して37〜66mg/dL低下し、これによって心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベントのリスクが21〜27%も減るとされています。特にLDLが190mg/dL以上の方では、55〜65%ものリスク減少が見込まれます。

年間に予防できるイベント数(アメリカ全体)としては、

  • 心筋梗塞:約10万件
  • 脳卒中:約6〜14万件
  • 冠動脈死:約4〜8万件

とされ、治療の効果はきわめて大きいことが分かります。

【③ 経済的インパクトも大:年3兆円の医療費削減も】

キーワード:医療費削減、予防、心血管イベント

この研究では、ガイドラインに沿った治療を全国民に広げた場合、年間で2.5〜3.2兆円(約250〜320億ドル)の医療費が節約できると試算されています。これは主に心筋梗塞や脳卒中による入院や治療費の削減によるものです。

薬の費用がかかると思われがちですが、スタチンはすでにジェネリック医薬品も広がっており、コストパフォーマンスの面でも優れています。

【まとめ】

高LDLコレステロール血症の治療は、命を守るだけでなく、社会全体の医療費を抑える重要な手段です。特にスタチンを中心とした薬物療法を積極的に活用することで、心筋梗塞や脳卒中を大幅に予防できる可能性があります。

もし「健康診断でコレステロールが高い」と指摘されたことがある方は、今一度医師と相談して、治療を検討してみてください。

【引用情報】

  • Alexander GC et al. “US Public Health Gains from Improved Treatment of Hypercholesterolemia: A Simulation Study of NHANES Adults Treated to Guideline-Directed Therapy.” J Gen Intern Med. 2025. DOI: 10.1007/s11606-025-09625-0

【当院でもご相談を承ります】

当院「シーサー通り内科リハビリクリニック」では、LDLコレステロール管理のご相談、動脈硬化の評価(血管年齢測定やCTによる内臓脂肪・LAA%評価)を行っています。脂質異常症や動脈硬化、心血管疾患の予防にご関心のある方は、ぜひ一度ご相談ください。