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血圧管理の最前線 130/80未満の降圧で心臓病リスク40%減!腎臓は大丈夫?
【高血圧はどこまで下げるべき?130/80未満の治療が注目される理由】
高血圧は脳卒中や心筋梗塞など、重大な病気の原因になります。
そのため、血圧をどこまで下げるべきかは、医療の重要なテーマです。
従来は「140/90 mmHg未満」が目標とされてきましたが、最近はより厳しく
「130/80 mmHg未満」を目指す治療(集中的降圧)が注目されています。
今回ご紹介する研究は、中国の農村地域で3万人以上の高血圧患者を対象に行われ、
その効果と安全性が検証されました。
【心臓病リスクは約40%減!130/80未満の効果】
この研究では、推算糸球体濾過量(eGFR)60以上(=慢性腎臓病でない)患者を対象に、
集中的降圧(130/80未満)を行ったグループと、従来の治療を行ったグループを比較しました。
その結果、集中的降圧を受けた人は、心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中・心不全・心臓死)の発症率が
年間で2.0%→1.2%に減少。約42%のリスク減少がみられました。
特に脳卒中(40%減)や心不全(60%減)に対する効果が顕著で、
心臓の病気を予防したい人には、大きなメリットがある治療戦略といえます。
【腎臓には悪影響なし?安心できる根拠】
「血圧を下げすぎると腎臓に悪いのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。
実際、過去の研究では、120mmHg未満に下げるとeGFRが急に落ちる報告もありました。
しかし本研究では、eGFRが60以上の人に限れば、
130/80未満に下げても腎機能の著しい悪化(eGFRが30%以上低下するなど)は認められませんでした。
実際に、腎機能の悪化が起きた人の割合は、介入群3.7%、通常治療群3.1%とほぼ差がなく、
統計的にも有意な差はありませんでした。
ただし、副作用として「低血圧」や「カリウム低下」はやや増加していたため、
医師の指導のもとでの慎重な管理が重要です。
【総合評価:心臓を守る新たな選択肢として】
この研究は、中国農村地域の約3万人を対象とした大規模研究であり、
「医師でなくても地域スタッフが指導すれば、血圧は下がり、心臓病を予防できる」
という実用的なメッセージも含まれています。
また、腎機能への影響も最小限であることが確認され、
高血圧患者において130/80未満を目指すことは、安全かつ有効な選択肢といえます。
【当院からのご案内】
当院「シーサー通り内科リハビリクリニック」では、
高血圧管理において最新の知見に基づいた治療方針をご提案しております。
・ご自身の血圧目標を見直したい方
・心疾患や脳卒中の予防を真剣に考えている方
・腎機能も気になる方
ぜひ一度ご相談ください。地域の皆さまの健康を、専門医が全力でサポートいたします。
参考文献
Sun G et al. Intensive Systolic Blood Pressure Reduction and Kidney and Cardiovascular Outcomes. JAMA Network Open. 2025;8(7):e2519604. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.19604
