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脳神経内科認知症

若年性認知症の代表FTD|行動変化・言語障害と受診の目安を専門医が解説

【はじめに】

アルツハイマー型認知症だけが認知症ではありません。人格や言葉の使い方が先に変化する「前頭側頭型認知症(FTD)」も重要です。

FTDは脳の前頭葉と側頭葉が主に傷む病気で、行動型FTD(bvFTD)と原発性進行性失語(PPA)の2つの主要な型が知られています。

行動型では性格変化や社会性の低下が目立ち、PPAでは言葉の理解や発話が少しずつ難しくなることが特徴とされています。

家族から見た「最初の変化」は物忘れよりも振る舞いの違和感です。イライラ、同じ物ばかり食べる、マナーの欠如などが典型です。

【最新疫学:どのくらい起きる?(有病率・発症率の目安)】
JAMA Neurology 2025の系統的レビューではFTD全体の発症率は10万人年あたり2.28人、有病率は10万人あたり9.17人と示されました。

行動型FTDの発症率は1.20、PPAは0.52。65歳未満に限定すると発症率は1.84、有病率は7.47で、若年性認知症の代表といえます。

頻度はレビー小体型認知症と同程度で、進行性核上性麻痺や皮質基底核症候群、ALSより高いことが報告されています。

研究間のばらつきは大きいですが、全体像を把握する上で重要な基準値となり、臨床と家族支援の両面で有用な情報といえます。

【見落とされやすい理由と受診の目安】
FTDはうつ病や双極性障害、依存症などの精神疾患に似て見えるため、初期に半数が精神科診断を受け平均5〜6年遅れる報告も。

疑うヒントとしては金銭や食行動のルールが守れない、共感性の低下、衝動買い、危険運転、言語の変化が長く続くことです。

物忘れよりも性格や言動の急な変化が先に出て長く続く場合は、早期に専門医へ相談することが診断と生活支援の第一歩です。

【検査とサポート:早めに動くほど暮らしは守れる】
診断は問診や神経心理検査、CT/MRIなどの画像検査を組み合わせ、必要に応じ血液や遺伝子検査を検討する場合もあります。

治療薬は開発中ですが、作業療法や言語療法、介護保険、就労支援、福祉制度を活用することで生活の困りごとは軽減できます。

金銭管理は少額プリペイドや定額化、食行動は見える化と分量固定、ネット購入の制限など環境側からの工夫も有効です。

家族は一人で抱え込まず、地域包括支援センターやもの忘れ外来に相談を。制度活用とACPにより不安は大きく減らせます。

【アルツハイマー型との違い(やさしい用語解説)】
アルツハイマー型は海馬が主に傷み記憶障害が先行しますが、FTDは前頭葉・側頭葉が先に傷み行動や言語の変化が目立ちます。

有病率=ある時点での患者数、発症率=一定期間に新たに発生した患者数。数字は地域差があっても早期受診の重要性は共通です。

最後に、家族が「別人のよう」と感じたらそれは大切な医学的サインです。迷ったらまず専門外来に相談し、受診予約をしましょう。

【当院のご案内(コマーシャル)】
那覇市のシーサー通り内科リハビリクリニックでは、内科・脳神経内科・リハビリを標榜し、多職種サポートを提供しています。

CTによる内臓脂肪評価、骨密度測定、脳神経超音波、歩行分析、コグニバイクやショックウェーブを用いたニューロリハも導入。

もの忘れや言語外来、家族面談や制度相談も対応。LINEからの予約や相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

【参考文献】
Urso D, Giannoni-Luza S, Brayne C, Ray N, Logroscino G. Incidence and Prevalence of Frontotemporal Dementia: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Neurol. 2025. doi:10.1001/jamaneurol.2025.3307 (オープンアクセス本文)