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RSVワクチンはいつ打つ？——同一シーズン69％、翌年も有効48％の最新データ
【はじめに】
2023年に登場した高齢者向けRSV（呼吸器合胞体ウイルス）ワクチン。
米国26病院のデータを用いたJAMA掲載の観察研究が、入院予防効果を2シーズンに
わたり評価しました。数字の意味や対象、注意点をやさしく解説します。 ジャマネットワーク
【RSVワクチンの効果・有効性：2シーズンで58％】
本研究は「テストネガティブ・症例対照デザイン」を採用。急性呼吸器症状で入院し、
RSVだけ陽性の人を症例、RSV・インフル・新型コロナがすべて陰性の人を対照として、
ワクチン接種歴の差から有効性（VE）を推定しました。結果、60歳以上6958例の解析で、
RSV関連入院に対するVEは全体で58％（95％CI 45–68％）でした。入院という重い転帰に
対して、観察研究としては実用的な効果が示されています。 ジャマネットワーク+1
【同一シーズンと前シーズン：有効性の差と持続】
最も高い効果は「同一シーズン接種」で69％。前シーズンに接種して翌年を迎えた場合は
48％まで低下しました（p＝0.06）。つまり1回接種でも翌年に一定の保護は残る一方、
同一シーズンに打つ方が効果は高め。保護の“持続”はあるが“やや減衰”する、という
解釈が妥当です。今後は最適な再接種間隔の検討が必要とされます。 ジャマネットワーク+1
【ハイリスク（免疫低下・心血管疾患）での効果と注意】
免疫抑制状態ではVEが30％（95％CI −9〜55％）と低く、免疫健常者の67％より見劣り。
心血管疾患（CVD）を持つ方も56％と、CVDなしの80％に比べ有効性が下がりました。
背景疾患が重いほどワクチンだけに頼らず、早期受診・併存症管理・感染対策の総合戦略
が大切です。とはいえ“低い＝無効”ではありません。リスクの高い方ほど、得られる便益
は相対的に重要になります。 ジャマネットワーク
【対象とタイミング（米国の最新推奨）】
米国CDCは2025年7月時点で、75歳以上の全員、および50〜74歳の“重症化リスクが高い”
成人に単回接種を推奨しています（慢性心肺疾患・免疫低下・施設入所など）。翌季への
持続効果はあるものの低下傾向があり、流行期前の接種が理にかないます。国や地域で
方針は異なるため、日本では最新の公的情報と医療機関での相談をおすすめします。 CDC+1
【用語をかんたんに】
・テストネガティブ・デザイン：同じ症状で受診した人同士を比べ、病原体が陽性か陰性かで
グループ分けする方法。検査に来る“行動の違い”などの偏りを減らす狙いがあります。
・有効性（VE）：ワクチンを打った人で病気がどれだけ減ったかを%で示したもの。観察研究の
推定値であり、無作為化試験と違い因果を断定はしませんが、現場の実態を反映します。 ジャマネットワーク
【実臨床でのポイント】
① 高齢者・基礎疾患持ちでの入院予防に意義——入院リスクが高い人ほど恩恵が大。
② 同一シーズン接種がより高い効果——流行前（秋口）の接種計画が有用。
③ 免疫抑制・CVDでは効果が下がる——併存症管理・早期受診をセットで考える。
④ 日本の方は国内指針の更新に注意——接種可否や対象は国で異なる点に留意。 ジャマネットワーク+1
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【当院からのお知らせ（コマーシャル）】
シーサー通り内科リハビリクリニック（那覇市）では、RSワクチンが実施可能で呼吸器感染期に備えた基礎疾患の整え直し（心不全・COPD・糖尿病など）や、ワクチン相談、栄養・運動の総合支援を行っています。高齢のご家族がいる方、免疫抑制治療中の方は、秋の流行前に一度ご相談ください。地域の皆さまと「入院を防ぐ」ための最善策を一緒に考えます。
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【参考文献・リンク】
・Surie D, Self WH, Yuengling KA, et al. RSV Vaccine Effectiveness Against
Hospitalization Among US Adults Aged 60 Years or Older During 2 Seasons. JAMA.
2025 Aug 30. doi:10.1001/jama.2025.15896（全文）
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2838490 ジャマネットワーク
・PubMed（PMID: 40884491）https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40884491/ PubMed
・CDC（成人のRSVワクチン）https://www.cdc.gov/rsv/vaccines/adults.html CDC
・CDC（医療者向け臨床ガイダンス）https://www.cdc.gov/rsv/hcp/vaccine-clinical-guidance/adults.html CDC
