ブログ

一般内科骨粗鬆症

骨密度(DXA)検査でわかること|骨粗しょう症の症状・治療・食事と運動

はじめに、骨を「貯金」する発想が大切です。若い頃からの生活習慣と、中高年以降の検査と治療。どちらもそろってはじめて、骨折の連鎖を断てます。本記事では、低骨密度の最新知見と実践策を解説します。

【低骨密度(骨粗しょう症)とは?キホンをおさらい】
骨密度は骨の丈夫さを示す指標で、DXAという装置で測定します。「若い健康成人の平均に対し、どれだけ保てているか」を見ます。数値が一定以下だと骨粗しょう症と診断され、骨折しやすくなります。骨折は「転んだだけ」でも起こり、生活の質を大きく下げます。

骨折は痛みだけではなく、寝たきりや認知機能の低下にも影響します。特に大腿骨近位部(いわゆる股関節)の骨折は要介護の入口です。「一度折れると次も折れやすい」ので早期の対策が重要です。検査と治療、生活改善を並行して続けることが近道になります。

【世界と日本の現状:数字で見る低骨密度のインパクト】
2020年、低骨密度に関連する健康損失は世界で甚大でした。推定で年間1720万DALY、死亡47.7万人と報告されています。負担の大半は転倒関連ですが、交通外傷でも無視できません。1990年からの増加傾向も明らかで、高齢化と並行して進みます。

同報告では、転倒がDALYの約65%、死亡の約71%を占めました。道路交通傷害もDALYの約25%、死亡の約23%と示されています。つまり「転ばない工夫」と「骨そのものを強くする」両輪が必要です。数字は世界規模ですが、日本の高齢化でも同じ構図が当てはまります。

年齢とともに骨密度は男女とも右肩下がりになります。女性は閉経後に低下が加速し、男性も加齢で確実に下がります。BMIの低さ、喫煙、過度の飲酒、運動不足、ステロイド使用など。多因子が重なるほど骨折リスクが跳ね上がる点は要注意です。

【今日からできる骨折予防:検査・食事・運動・住環境】
①検査(DXA)で現状把握
閉経後女性や65歳以上、骨折歴やステロイド内服がある方。やせ型や身長低下、家族歴、喫煙者なども検査適応を考えます。数値で把握することで、治療や生活指導の優先度が決まります。

②栄養:カルシウム+ビタミンD+たんぱく質
牛乳・ヨーグルト・小魚・大豆製品・青菜を毎日コツコツと。日光に当たってビタミンDをつくり、魚や卵で補うのも有効です。筋肉の材料であるたんぱく質は、転倒予防にも直結します。

③運動:骨と筋の“二刀流”
骨は「荷重刺激」で強くなるため、歩行や軽いジョギングが基本。スクワットやカーフレイズで下肢と体幹を鍛えると安定します。片脚立ちや足指のグーパー運動でバランス能力も底上げします。痛みが強い場合は水中歩行など、負荷を調整し継続しましょう。

④住環境:転ばない家づくり
段差やカーペットのめくれ、夜間の暗さは小さな落とし穴です。手すりや滑り止め、十分な照明、履物の見直しで転倒は減らせます。処方薬の副作用(眠気・ふらつき)も医療者に相談してください。見え方や補聴の問題も転倒と関係するため、総合的に点検します。

⑤薬物治療:骨の代謝を味方に
ビスホスホネート、デノスマブ、SERM、テリパラチドなど。それぞれ作用が異なり、骨密度と骨折歴、併存症で選びます。内服・注射のスケジュールを守るほど、効果は安定します。医師・薬剤師と副作用を共有し、定期検査で調整しましょう。

⑥再骨折を防ぐ“つなぎ目”づくり
一度の骨折で終わらせず、退院後すぐ外来で二次予防を開始。栄養・運動・薬物・家屋対策を一本化する仕組みが鍵です。理学療法士の介入や多職種連携は、再骨折を大きく減らします。「転ばない体」と「折れにくい骨」を同時に育てていきます。

まとめ:検査→生活→治療の三位一体で、骨折は予防できます。数字が語る通り、低骨密度の影響は世界規模で深刻です。しかし、検査と生活改善、適切な治療でリスクは下げられます。今日の一歩が未来の骨折を減らす“最良の保険”になります。

――――――――――――――――――――――――――――
【当院からのお知らせ(コマーシャル)】
シーサー通り内科リハビリクリニック(那覇市)では、骨粗しょう症のスクリーニングと転倒予防の総合支援を行います。骨密度検査(DXA)に関するご相談、栄養・運動指導、薬物治療。理学療法士によるバランス訓練や歩行指導もワンストップで対応。「最近背が縮んだ」「転びやすい」「家族に骨折歴がある」方は、ぜひお気軽にお声かけください。Web・LINEからも予約可能です。

――――――――――――――――――――――――――――
【参考文献(リンク付き)】
Global Burden of Disease 2021: Low Bone Mineral Density.
The Lancet Rheumatology. 2025; Published online Sep 16, 2025.
DOI: https://doi.org/10.1016/S2665-9913(25)00105-5