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一般内科呼吸器生活習慣病(高血圧・糖尿病など)

いびき+不眠は要注意:血圧コントロール不良のリスクと今日からの改善策

【この記事のねらい】
不眠と睡眠時無呼吸の“併存”が血圧に与える影響を、最新研究をもとにわかりやすく解説します。受診の目安と自宅でできる対策を具体的にまとめました。

【COMISAとは?高血圧との関係】
COMISA(コムイサ)は「不眠症」と「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」が同時にある状態を指します。ポイントは“どちらか一方”より体への負担が大きく、血圧コントロール不良と関連が強いことです。最新のコホート解析では、COMISA群の“診察室血圧が高いまま”の割合が対照群より明らかに高値。統計解析で体格や生活習慣、併存症、日中の眠気、夜間低酸素の影響を調整後もリスクは有意でした。無呼吸重症度(AHI)が同程度でも、COMISAはOSA単独より高血圧コントロール不良の比率が高い結果。さらに“夜間の低酸素に晒された時間(T90)”が、その関連を仲立ちする重要因子と示唆されました。
※AHI=1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数/T90=酸素飽和度90%以下で過ごした記録時間の割合。

【見落としサインとセルフチェック】
「寝つきが悪い・途中で何度も起きる」×「いびき・無呼吸を指摘された」が同時なら要注意です。朝の頭痛、日中の強い眠気、夜間の頻尿、集中力低下、首回りの太さ(肥満傾向)もヒントになります。家族の観察は重要です。「息が止まる」「あえぐ」「突然大きないびき」などは早期受診の合図です。血圧手帳をつけましょう。家庭血圧が“朝高い・夜も下がりにくい”人は睡眠障害の確認が近道です。
アプリやスマートウォッチは目安にはなりますが、正式診断は医療機関の検査が必要です。

【検査の流れと治療の考え方】
検査は簡易アプノモニターから。重症度や合併症が疑われれば睡眠ポリグラフ(精密検査)を行います。OSAにはCPAP(持続陽圧呼吸療法)や口腔内装置、体位療法、減量などを組み合わせて治療します。不眠には薬だけに頼らない「認知行動療法(CBT-I)」が第一選択。刺激制御や睡眠制限が中心です。“無呼吸を治すだけ”でも、“不眠だけ”でも不十分なことがCOMISAの難しさで、同時対処が鍵です。治療の目的は「夜間の低酸素を減らす」「連続した睡眠を確保」「昼間の眠気と高血圧を整える」こと。

【生活改善:今日からできる5つの具体策】
①就寝・起床時刻の固定:まず“起床を一定”に。休日も±1時間以内で体内時計を安定させましょう。
②就床前90分の入浴:深部体温を先に下げ、入眠を助けます。寝室は暗く静かで涼しく保つのが基本。
③カフェイン・アルコールの整理:カフェインは就寝6時間前まで、寝酒は中途覚醒と血圧上昇の要因。
④体重管理と鼻呼吸:5~10%の減量でAHIは改善しやすく、鼻炎治療や枕の最適化で通気も助けます。
⑤横向き寝や抱き枕:仰向けで悪化する人は体位療法を。いびきアプリで“癖”を見える化しましょう。

【受診の目安とフォロー】
高血圧治療中でも“朝の家庭血圧が高い”“薬を増やしても下がりにくい”ならCOMISAを疑いましょう。
CPAP導入後も不眠が残る場合は、就床前のルーティン・画面時間・昼寝時間を一緒に見直します。1~3か月で日中の眠気や血圧の変化を評価。良好なら継続、改善乏しければ設定や併用療法を調整。治療は“続けられる仕組み”が最優先。マスク合わせ、保湿、肌トラブル対策まで遠慮なく相談を。

【まとめ】
COMISAはOSA単独より血圧コントロール不良と結びつきやすく、夜間低酸素がリスクの要に挙がります。
検査で実態を可視化し、CPAPや口腔内装置+CBT-I+生活改善を総合的に組み合わせることが重要です。
「いびき」と「不眠」を同時に抱える方は、放置せず“両輪での治療”で心血管リスクを下げましょう。

【参考文献・リンク】
Annals of the American Thoracic Society(2025年先行):
Co-morbid Insomnia and Sleep Apnea Is Associated with Uncontrolled Hypertension in a Middle-aged Population.
https://doi.org/10.1513/AnnalsATS.202501-080OC

【当院からのお知らせ|那覇市・シーサー通り内科リハビリクリニック】
当院は内科・脳神経内科・リハビリを標榜。いびき・無呼吸の簡易検査、精密検査手配、CPAP管理、不眠の認知行動療法の指導、減量・運動・栄養・薬の総合調整まで一体でサポートします。「朝の血圧が高い」「いびき+不眠」「日中の眠気が強い」—まずはWeb問診・お電話からご相談を。24時間予約対応。地域の皆さまの睡眠と血管の健康を、チームでしっかりお手伝いします。