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心血管・腎臓リスクを同時に減らす方法|Life’s Essential 8入門
―30〜40代がカギ!心腎代謝(CKM)健康と予防の実践チェックー
【導入】
近年、心臓病と腎臓病は互いに影響し合うことが分かってきました。CKMシンドロームという新しい枠組みが注目されています。早い段階での対策が将来の大きな病気を防ぐ鍵になります。一般の方にもわかりやすく、その要点を紹介します。
【CKMの基礎】
CKMは心(Cardio)・腎(Kidney)・代謝(Metabolic)の頭文字です。血圧、血糖、脂質、体重、睡眠、運動、喫煙、食事の総合力が要です。どれか一つではなく、複数が少しずつ悪化して重なりがちなのが特徴です。だからこそ「まとめて整える」視点が重要とされています。若い時は自覚症状が乏しく、気づけば差が広がりやすいので、検査と生活の両面から改善を重ねることが大切です。
【LE8という物差し】
米国心臓協会が提唱するLife’s Essential 8(LE8)は健康の指標です。八つの項目を0〜100点で評価し、総合点で現状を見える化します。「良い睡眠」「禁煙」「活動量アップ」「血圧・血糖・脂質の最適化」「体重管理」「バランスの良い食事」が柱です。難しい計算は不要で、かかりつけ医と共に確認すれば十分です。今日からできる工夫が中心です。
【若い世代こそチャンス】
30〜40代でLE8の総合力を高く保つほど、将来の発症が下がります。若い頃の積み重ねが中年期の心臓・腎臓イベントを減らすからです。研究では、上位群は下位群に比べてリスクが大きく下がると示されています。特に血圧と血糖の管理が、両方の臓器に良い影響を与えるとされます。今の小さな一歩が10年後の自分を助けてくれます。忙しい世代でも、週単位の習慣化が鍵になります。
【検査で押さえるポイント】
まずは血圧、空腹時血糖、脂質の三点を定期的に確認しましょう。腎臓では血清クレアチニンとeGFR、尿アルブミンのチェックが大切です。体重だけでなく、内臓脂肪や筋肉量のバランスも確認することが役立ちます。睡眠時間やいびきの有無、日中の眠気も健康のヒントです。数値と生活習慣を組み合わせると改善策が見えやすくなります。
【食事の整え方】
主食は食物繊維の多い穀物を選び、野菜は毎食、果物は適量を意識します。魚、豆類、低脂肪乳製品を組み合わせ、塩分はできるだけ控えましょう。甘い飲料や加工食品は「毎日」から「ときどき」へ減らすのがコツです。外食はスープを味見して塩分を調整する「引き算」も有効です。完璧を求めず七割主義で続ける方が長続きします。家族と同じ献立で工夫しましょう。
【運動の始め方】
まずは一日30分の速歩を目安に。分割しても効果はあります。階段を選ぶ、最寄り駅の一駅前で降りるなど、生活に動きを取り入れましょう。筋トレは週2回、椅子立ちや壁腕立てなどで十分です。活動量計やスマホアプリは行動変容の後押しになります。痛みや持病があれば医療者に相談し、安全な範囲を確認してから始めましょう。
【血圧と血糖のコントロール】
家庭血圧は朝晩測り、記録を診察で共有します。食後高血糖が疑われる場合は、食べ方の順序や量の調整が効果的です。薬物療法も早期導入が合併症予防につながります。睡眠不足や飲酒過多は血圧・血糖を悪化させます。就寝と起床時間を整え、飲酒量をコントロールすることが重要です。「測る・記す・直す」が改善の基本です。
【禁煙と減酒】
喫煙は血管を傷め、腎臓の細い血管にも悪影響を及ぼします。禁煙外来やニコチン代替療法を利用しましょう。お酒は週に休肝日を設け、量を可視化して管理します。少しの節制でも数か月で血圧や肝機能が改善します。家族や職場の理解を得て、無理なく続けられる仕組みを整えましょう。
【医療機関の役割】
検査値の変化を追い、LE8総合点を毎年更新するのが理想です。個人に合わせて目標を設定し、医師と一緒に優先順位を決めましょう。治療薬は心腎を守る効果も考慮し、総合点の底上げを目指します。
生活習慣の支援は、栄養士や理学療法士との連携が効果的です。小さな改善を可視化して共有することでモチベーションが続きます。
【まとめ】
CKMシンドロームは複数の危険因子を束ねて整える考え方です。30〜40代の対策が将来の病気を減らします。今日からできる一歩を踏み出し、測って記録し、少しずつ前進しましょう。未来の自分への最高の投資になります。
【参考・引用情報】
・若年期の心血管健康が中年期の心血管・腎イベントを減少(JAMA Cardiology 招待論説)
・American Heart Association. Life’s Essential 8(LE8)とPREVENT式
・CKMシンドローム:心・腎・代謝の横断的管理
【当院からのお知らせ】
那覇市「シーサー通り内科リハビリクリニック」では、CKMチェックとして血圧・血糖・脂質・尿アルブミンを評価。GE骨密度測定やCTによる内臓脂肪・肺・脳の評価にも対応します。理学療法士による運動指導やニューロリハビリもご相談ください。LINE予約・オンライン診療に対応。「まずは測る」から始めましょう。
