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がん治療中に心筋梗塞?出血と血栓のバランスをやさしく解説
がんの治療中に、胸の痛みや息切れが出て
「心筋梗塞」と診断されることがあります。
これを**急性冠症候群(ACS)**と呼びます。
心臓の血管が急に詰まる病気の総称です。
通常は、血管を広げる治療と
血栓を防ぐ薬を使います。
しかし、がん患者さんでは
事情が少し違います。
なぜなら、
「血栓ができやすい」
けれど
「出血もしやすい」
という、難しい状態だからです。
【がん×心筋梗塞:死亡率と出血リスクが高い】
がんを持つ患者さんのACSでは、
6か月以内の死亡率が約28%と報告されています。
また、大きな出血は約7%、
再び血管が詰まる虚血イベントは約16%でした。
つまり、治療そのものが
命に関わる出血を起こす可能性があります。
虚血イベントとは、
心筋梗塞の再発や脳梗塞などを指します。
がんの炎症や体力低下、
貧血や腎機能低下などが重なり、
血液の状態が不安定になりやすいのです。
【ONCO-ACSスコア:11項目で6か月を予測】
そこで開発されたのが
ONCO-ACSスコアです。
これは、がん患者さん専用の
リスク予測ツールです。
6か月以内の
・死亡
・大出血
・虚血イベント
を同時に予測します。
評価に使うのは11項目です。
年齢、がんの種類、転移の有無、
診断からの期間などの腫瘍情報。
さらに
ヘモグロビン値(貧血の指標)
腎機能(eGFR)
心拍数
BMI
心不全の重症度(Killip分類)
心停止の有無
最近の大出血歴
などを組み合わせます。
入院時にわかる情報で
計算できるのが特徴です。
予測精度も一定の水準が示され、
複数国で検証されています。
【治療の考え方:出血と血栓のバランス】
ACS治療の基本は、
①血管を広げる治療(カテーテル)
②抗血小板薬(血を固まりにくくする薬)
です。
しかし、がん患者さんでは
薬を強くすれば
出血が増える可能性があります。
弱くすれば
再び血管が詰まる可能性があります。
ONCO-ACSは、
このバランスを“見える化”します。
例えば
「死亡リスクは高いが出血は低い」
なら積極的治療を考えます。
「出血リスクが非常に高い」
なら薬の期間を短くするなど
慎重な方針を検討します。
ただし、スコアは
あくまで補助ツールです。
最終判断は
がんの進行状況
今後の治療予定
血小板数
生活の質
患者さん本人の希望
を踏まえて決めます。
まとめ
がん患者さんの心筋梗塞治療は
非常に繊細な判断が必要です。
ONCO-ACSスコアは、
死亡・出血・再発を同時に見積もる
新しい考え方です。
もし入院中に説明を受けたら、
「出血と血栓のどちらを重視していますか?」
「薬はどのくらいの期間続けますか?」
と質問してみてください。
理解が深まり、
納得した治療につながります。
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「出血しやすさ」と「血栓ができやすさ」のバランスが重要となるため、
患者さんの状態に合わせて丁寧に評価し、
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参考文献(引用)
Wenzl FA, Ow KW, Velders MA, et al.
Prediction of mortality, bleeding, and ischaemic events in patients with cancer and acute coronary syndrome: a model development and validation study.
Lancet. 2026;407:515–528.
