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循環器脳卒中脳神経内科

卵円孔開存と脳梗塞 PFO閉鎖術が有効な人・向かない人をやさしく解説

PFO閉鎖術は誰に本当に有効?

若い脳梗塞の治療選びをわかりやすく解説します

脳梗塞は高齢の方に多い病気ですが、
若い方や中年の方にも起こることがあります。

そのような患者さんを調べると、
**PFO(卵円孔開存)**が見つかることがあります。
最近は、このPFOを閉じる治療が注目されています。

PFOとは、心臓の右と左の部屋の間に残る
小さな通り道のことです。
生まれる前には必要ですが、多くの人では出生後に閉じます。

ただし、一部の人では完全に閉じず、
大人になっても小さな穴として残ります。
これが卵円孔開存です。

PFOがあると、足などの静脈にできた小さな血栓が、
肺を通らずに心臓を抜けて脳に飛び、
脳梗塞の原因になることがあると考えられています。

このため、原因がはっきりしない脳梗塞、
いわゆる潜因性脳梗塞でPFOが見つかると、
「穴を閉じたほうがよいのでは」と考えられます。

実際に、PFOをカテーテルで閉じる
PFO閉鎖術は、脳梗塞の再発予防に役立つことが
これまでの研究で示されてきました。

しかし、ここで大事なのは、
PFOがある患者さん全員に閉鎖術が有効とは限らない
という点です。

今回のJAMA Neurologyの研究では、
どの患者さんならPFO閉鎖術の利益が大きく、
どの患者さんでは逆に不利益が出やすいのかを、
PASCAL分類という方法で詳しく調べています。

【PFOとは何か 脳梗塞との関係をやさしく解説】

まず知っておきたいのは、
PFOが見つかったからといって、
必ずそれが脳梗塞の原因とは言えないことです。

PFOは比較的よく見つかるため、
たまたま存在していただけの可能性もあります。
つまり、「関係があるPFO」と「たまたまあるPFO」があるのです。

ここを見分けるために使われたのが
PASCAL分類です。
少し難しい名前ですが、考え方は単純です。

その患者さんの脳梗塞が、
どれくらいPFOによって起きた可能性が高いかを、
臨床情報やPFOの特徴から整理する方法です。

今回の研究では、18歳から60歳までの
若年・中年の潜因性脳梗塞患者さん3740人を対象に、
過去の6つの大規模試験のデータをまとめて解析しました。

その結果、PFOと脳梗塞の関係は、
probable(原因の可能性が高い)
possible(原因の可能性がある)
**unlikely(原因の可能性が低い)**に分類されました。

つまりこの研究は、
「PFOがあるかどうか」だけではなく、
「そのPFOが本当に原因らしいか」に注目したところが
大きな特徴です。

【PFO閉鎖術のメリットとリスク どんな人が得をする?】

PFO閉鎖術の最大の目的は、
脳梗塞の再発を防ぐことです。
一方で、治療にはリスクもあります。

特に問題になるのが
心房細動という不整脈です。
心房細動は脈が乱れる病気で、
それ自体が脳梗塞の原因になることがあります。

つまり、PFO閉鎖術では
「脳梗塞再発を減らす利益」と
「心房細動を増やす不利益」を
両方見て判断する必要があります。

今回の研究では、
probable群とpossible群では、
5年間でみた脳梗塞再発の減少が、
心房細動増加の不利益を上回っていました。

probable群では、
再発脳梗塞が2.5%減ったのに対し、
遅れて見つかった心房細動は1.3%増加でした。

possible群でも、
再発脳梗塞は3.4%減っており、
心房細動の増加は1.1%でした。
この2群では、全体として閉鎖術の利益が大きいと考えられます。

一方で、unlikely群では結果が異なりました。
脳梗塞再発は減らず、
むしろ増える方向がみられ、
心房細動は4.6%も増えていました。

つまり、
PFOが脳梗塞の原因らしい人には閉鎖術が有利で、
原因らしくない人には不利になる可能性がある

ということです。

研究者たちは、
PASCAL分類を使うことで、
約5人中4人は利益が期待でき、
約5人中1人は不利益を避けられる可能性があると
述べています。

【若い脳梗塞でPFOが見つかったら どう考えるべき?】

この研究からわかる大事な点は、
PFOが見つかっただけで
すぐ閉鎖術を決めるべきではない、ということです。

まずは、その脳梗塞が
本当にPFOと関係していそうかを、
丁寧に見極めることが重要です。

たとえば、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙など
動脈硬化の危険因子が強い場合には、
脳梗塞の原因がPFO以外にある可能性もあります。

逆に、若くて他の原因が見つからず、
PFOの形にも特徴がある場合には、
閉鎖術の恩恵を受けやすいかもしれません。

また、閉鎖術は治療して終わりではありません。
その後も薬の管理や、
心房細動が起きていないかの確認が必要です。
治療は長い目で考えることが大切です。

今回の研究は、
PFO閉鎖術が「よい治療か、悪い治療か」ではなく、
どの患者さんに行うかが最重要であることを
はっきり示した研究といえます。

若い脳梗塞の診療では、
原因に合った治療を選ぶことが
今後ますます大切になるでしょう。

まとめ

PFO閉鎖術は、
若い潜因性脳梗塞の患者さんにとって
有力な再発予防法のひとつです。

ただし、PFOがある患者さん全員に
同じように有効なわけではありません。
大切なのは、そのPFOが本当に原因らしいかを
しっかり見極めることです。

今回の研究では、
PASCAL分類でprobableまたはpossibleと判断された人では、
閉鎖術の利益が不利益を上回りました。
一方、unlikely群では不利益が目立ちました。

若い脳梗塞でPFOが見つかった場合は、
あわてて決めるのではなく、
脳卒中診療と心臓病の両方に詳しい医師と相談しながら、
自分に合った治療方針を考えることが大切です。

引用情報・参考文献

Saver JL, Kent DM, Kasner SE, et al.
Patent Foramen Ovale Closure in Stroke and the PASCAL Classification System.
JAMA Neurology. Published online January 26, 2026.
doi:10.1001/jamaneurol.2025.5446
リンク:
https://doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.5446

主な内容:18〜60歳のPFO合併潜因性脳梗塞患者3740人を対象に、
6つの無作為化比較試験の個別データを統合解析し、
PASCAL分類のprobable群・possible群では
PFO閉鎖術による脳梗塞再発予防の利益が、
心房細動増加の不利益を上回る一方、
unlikely群では利益が乏しく不利益が目立つことを示しました。

【当院でのご相談について】

那覇市・浦添市・沖縄県で
脳梗塞の原因検索・再発予防・PFO(卵円孔開存)にお悩みの方へ。

シーサー通り内科リハビリクリニックでは、
脳梗塞の原因検索、再発予防、生活習慣病管理に加え、
動脈硬化評価や脳卒中後のフォローに力を入れています。

「若くして脳梗塞になった」
「PFO(卵円孔開存)があると言われた」
「カテーテルによる閉鎖術を受けるべきか迷っている」

このようなお悩みに対して、
検査結果や血管リスクを総合的に評価し、
最適な治療方針を一緒に考えていきます。

脳神経内科専門医・脳卒中専門医として、
画像検査や危険因子を丁寧に整理しながら、
わかりやすく納得できる説明を心がけています。

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