ブログ
原因不明の脳梗塞とPFO閉鎖術|メリットと注意点をやさしく解説
【卵円孔開存(PFO)とは:心臓に残った小さな通り道】
卵円孔開存(PFO)とは、心臓の左右を隔てる壁にある
「生まれる前の通り道」が、大人になっても残っている状態です。
実はPFOはとても珍しいものではなく、
健康な人の約4人に1人にあるとも言われています。
多くの人では一生問題になりません。
しかし一部では、この通り道を血のかたまりが通り抜け、
脳の血管を詰まらせることがあります。
これが「原因不明の脳梗塞(潜因性脳卒中)」の
原因の一つではないかと考えられています。
【PFO閉鎖術とは:カテーテルで穴をふさぐ治療】
PFOが脳梗塞の原因と考えられる場合、
カテーテルを使って穴をふさぐ
「PFO閉鎖術」という治療が選択されることがあります。
胸を切らず、足の付け根から細い管を入れて行う治療で、
体への負担は比較的少ないとされています。
ただし、誰にでも行えばよい治療ではありません。
なぜなら、脳梗塞の再発は減る一方で、
心房細動という不整脈が増えることが分かってきたからです。
【PASCAL分類とは:PFOが原因かを見極める考え方】
そこで使われるのが「PASCAL分類」という考え方です。
これは、
「このPFOは、脳梗塞の本当の原因らしいか?」
を3つのグループに分けて考える方法です。
・Probable(原因である可能性が高い)
・Possible(原因かもしれない)
・Unlikely(原因とは考えにくい)
PFOの形が大きいかどうか、
ほかに高血圧や糖尿病などの原因があるか、
といった点を総合して判断します。
【PFO閉鎖の効果:得をする人と損をする人】
大規模な研究では、PFO閉鎖術の効果は
PASCAL分類で大きく違うことが示されました。
ProbableやPossibleの人では、
脳梗塞の再発がはっきりと減りました。
一方で、心房細動は少し増えましたが、
「減った脳梗塞の数」のほうが多い結果でした。
つまりこのグループでは、
PFO閉鎖術のメリットが上回る可能性があります。
【注意が必要な人:Unlikelyグループ】
一方、Unlikelyに分類された人では、
PFO閉鎖をしても脳梗塞はほとんど減りませんでした。
それにもかかわらず、
心房細動はむしろ増える結果となりました。
心房細動は、新たな脳梗塞の原因にもなるため、
このグループではPFO閉鎖が
かえって不利益になる可能性があります。
【大切なポイント:治療は「人」で選ぶ】
この研究から分かる一番大切な点は、
「PFOがある=閉じる」ではないということです。
PFOが本当に原因らしいかを見極め、
治療の得と損を天秤にかけることが重要です。
そのためには、
脳神経内科と循環器内科が連携し、
一人ひとりに合った判断をすることが欠かせません。
当院からのご案内
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、
脳神経内科・脳卒中専門医が、
脳梗塞の再発予防や原因精査を丁寧に行っています。
「原因不明と言われて不安」
「PFOが見つかったが、どうすべきか迷っている」
そんな方も、お気軽にご相談ください。
引用文献
Saver JL, Kent DM, Kasner SE, et al.
Patent Foramen Ovale Closure in Stroke and the PASCAL Classification System.
JAMA Neurology. 2026.
https://doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.5446
