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手術前リハビリ「プレハビリ」の効果とは?入院期間短縮と合併症予防を解説
手術前から始める「プレハビリ」|術後の回復を助ける新しい医療
手術が決まったとき、多くの方は手術そのものや術後の痛みを心配します。
しかし実は、手術後の回復は「手術前の状態」に大きく左右されることがわかっています。
そこで近年注目されているのが「プレハビリ」です。
プレハビリとは、手術前から運動や栄養管理を行い、体を整えておく取り組みです。
簡単に言うと、「手術のための体づくり」です。
スポーツ選手が試合前にトレーニングを行うように、患者さんも手術前に準備をすることで、術後の回復を助けられる可能性があります。
最近発表された大規模研究では、プレハビリによって術後合併症が減り、入院期間が短くなる可能性が示されました。
今回は、プレハビリとは何か、どのような効果が期待できるのかをわかりやすく解説します。
【プレハビリとは?手術前の運動と栄養が回復力を高める】
プレハビリとは、手術前に体力や栄養状態を改善し、手術に備える取り組みです。
手術は体にとって大きなストレスです。
術後には痛みや安静の影響で筋力が低下しやすくなります。
また食事量が減ることで体力が落ち、回復が遅れることもあります。
そのため近年では、手術前から体を整えることが重要視されています。
プレハビリの中心となるのは「運動」と「栄養」です。
運動では、
・ウォーキング
・階段昇降
・スクワット
・筋力トレーニング
・呼吸訓練
などを行います。
呼吸訓練とは、深呼吸や肺をしっかり広げる練習のことです。
術後の肺炎予防にも役立つ可能性があります。
栄養面では、たんぱく質を十分に摂取することが重要です。
たんぱく質は筋肉や皮膚、血液を作る材料です。
肉、魚、卵、牛乳、ヨーグルト、大豆製品などに多く含まれています。
特に高齢者では筋肉量が減りやすいため、手術前からの栄養管理が重要になります。
つまりプレハビリとは、
「手術に向けて体力と栄養を蓄える準備期間」
と考えるとわかりやすいでしょう。
【最新研究で判明!プレハビリが術後合併症と入院期間を減らす可能性】
今回の研究では、23件のランダム化比較試験が解析されました。
対象者は2,182人に及びます。
整形外科手術、心臓手術、腹部手術、脊椎手術など、さまざまな手術が含まれていました。
その結果、運動または栄養によるプレハビリを受けた患者さんでは、術後合併症が有意に少なくなりました。
合併症とは、
・肺炎
・感染症
・血栓症
・せん妄
・出血
などのことです。
研究では、合併症の発生率が約半分まで低下する可能性が示されました。
また入院期間も平均で約0.4日短縮していました。
さらに詳しく分析すると興味深い結果が見つかりました。
運動中心のプレハビリは、術後合併症の予防効果が高い傾向がありました。
一方で栄養中心のプレハビリは、入院期間をより短縮する傾向がみられました。
つまり、
運動は「トラブル予防」
栄養は「回復促進」
に役立つ可能性があります。
また運動を行った患者さんでは、生活の質(QOL)の改善も認められました。
QOLとは「生活の質」のことで、
・体が動かしやすい
・日常生活が送りやすい
・自立した生活ができる
といった状態を意味します。
プレハビリは単に手術を乗り切るだけではなく、その後の生活にも良い影響を与える可能性があるのです。
【手術前に今日からできるプレハビリのポイント】
では実際に、手術が決まったら何をすればよいのでしょうか。
まず大切なのは「無理をしないこと」です。
プレハビリはアスリートのような激しい運動ではありません。
自分の体力に合った運動を継続することが重要です。
例えば、
・毎日20~30分の散歩
・椅子からの立ち座り運動
・軽いスクワット
・深呼吸の練習
などでも十分効果が期待できます。
また栄養面では、
毎食たんぱく質を摂ることを意識しましょう。
朝は卵やヨーグルト、
昼は魚や豆腐、
夜は肉や大豆製品を取り入れると続けやすくなります。
食欲が落ちている方では、栄養補助食品を利用することもあります。
さらに、
・禁煙
・十分な睡眠
・糖尿病の管理
・口腔ケア
も重要です。
口腔ケアとは歯磨きや歯科受診のことです。
口の中を清潔に保つことで術後肺炎の予防につながります。
高齢者では、わずかな体力低下が術後の寝たきりにつながることがあります。
だからこそ、手術前から準備を始めることが大切なのです。
まとめ
プレハビリとは、手術前に運動や栄養管理を行い、術後の回復を助ける新しい医療の考え方です。
最新の研究では、プレハビリによって術後合併症が減り、入院期間が短縮する可能性が示されました。
特に高齢者や体力に不安がある方では、手術前の過ごし方が回復に大きく影響します。
「手術が決まったら安静にして待つ」のではなく、
「手術前から体づくりを始める」
という考え方が今後ますます重要になるでしょう。
主治医やリハビリスタッフと相談しながら、自分に合ったプレハビリを行うことをおすすめします。
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【引用文献】
Cascavita CT, Hall AE, Shariati K, et al.
Exercise-Based and Nutrition-Based Prehabilitation Programs in Surgery: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Journal of the American College of Surgeons. 2026.
DOI: 10.1097/XCS.0000000000001891.
