ブログ

循環器脳神経内科頭痛

立ちくらみ・動悸・強いだるさ…POTSの原因と治療の考え方【最新研究】

POTSの症状がつらいのはなぜ?

中枢性感作との関係をわかりやすく解説

「立ち上がると動悸がする」
「めまいがして頭がぼんやりする」
「休んでも強いだるさが抜けない」

このような症状が続く方の中に、
**POTS(ポッツ、体位性頻脈症候群)**という
病気が隠れていることがあります。

POTSは、横になっている時は比較的平気でも、
立った時に脈が急に速くなり、
体調が悪くなる病気です。

症状は、動悸、立ちくらみ、めまい、息苦しさ、
強い疲れやすさ、頭が働かない感じなど、
とても幅広いのが特徴です。

中には、頭痛、腹痛、吐き気、しびれ、
全身の痛みを伴う方もいます。

ただ、ここで不思議なのは、
検査で見える異常がそれほど強くないのに、
本人はかなりつらいことがある点です。

この“症状の強さ”を説明する手がかりとして、
最近注目されているのが
**中枢性感作(ちゅうすうせいかんさ)**です。

これは、脳や脊髄が刺激に敏感になり、
本来よりも痛みや不快感を強く感じやすくなる状態です。

たとえば、普通なら軽い不快感で済む刺激でも、
強い症状として感じてしまうことがあります。

【POTSとは?立つと動悸やめまいが起こる病気】

POTSは、自律神経の働きの乱れが関係すると考えられています。

自律神経とは、血圧、脈拍、呼吸、発汗、
胃腸の動きなどを自動で調整する神経です。

私たちが立ち上がると、重力で血液は下半身に集まりやすくなります。
その時、自律神経がうまく働けば、
脳へ送る血液を保つことができます。

しかしPOTSでは、この調整がうまくいかず、
立った時に脈拍が大きく増えたり、
脳への血流が不安定になったりします。

その結果、立っているだけで、
つらい症状が出やすくなります。

若い女性に多いことが知られていますが、
男性や中高年にも起こりえます。

症状が見えにくいため、
「気のせいでは」と誤解されることもあります。
しかし、実際には生活の質を大きく下げる病気です。

【中枢性感作とは?なぜ症状が強く出るのか】

今回の研究では、POTSの患者さんに
中枢性感作がどれくらい多いかが調べられました。

その結果、POTSと診断された305人のうち、
86.5〜86.6%に中枢性感作がみられた
と報告されました。

つまり、POTSの多くの方で、
体の不調を強く感じやすい状態が
同時に起きていた可能性があります。

中枢性感作がある方では、
自律神経の症状だけでなく、
痛みやしびれ、全身のつらさも目立ちました。

さらに、不安、抑うつ、頭痛、
過敏性腸症候群、線維筋痛症などを
合併しやすい傾向もみられました。

ここで大切なのは、
これは「気持ちの問題」という意味ではないことです。

脳や神経の“受け取り方”が敏感になり、
症状が増幅されている可能性がある、
ということです。

研究では、中枢性感作のあるグループで、
立った時の脳血流の低下がより大きく、
呼吸に関連する指標も低い傾向がみられました。

つまり、立った時の循環や呼吸の乱れが、
脳の過敏さと関係している可能性があります。

【POTSの治療で大切なこと:脈拍だけでなく全体をみる】

POTSの治療では、これまで
水分や塩分をしっかりとること、
弾性ストッキングの使用、
脈拍や血圧を整える薬などが重視されてきました。

これらは今でも大切な治療です。
ただし、今回の研究は、
それだけでは十分でない方がいることを示しています。

もし中枢性感作が関わっているなら、
治療では「脈拍」だけではなく、
「症状のつらさ全体」をみる必要があります。

たとえば、睡眠を整えること、
頭痛や痛みをやわらげること、
胃腸症状に対応すること、
不安や気分の落ち込みを支えることも重要です。

また、無理をしすぎない生活調整や、
少しずつ体を慣らしていくリハビリも、
役立つ可能性があります。

POTSは、見た目には分かりにくい病気です。
そのため、本人がとてもつらくても、
周囲に理解されにくいことがあります。

しかし最近は、
「なぜこんなにつらいのか」を説明する研究が
少しずつ増えてきました。

今回の研究は、
POTSの症状の背景に中枢性感作がありうることを示し、
より幅広い診療の必要性を教えてくれます。

POTSの診療は、
単に脈が速いかどうかだけを見るのではなく、
痛み、頭痛、倦怠感、しびれ、睡眠、気分まで含めて
総合的に考えることが大切です。

まとめ

POTSは、立つと動悸やめまい、
強いだるさなどが起こる病気です。

今回の研究では、
POTSの多くの患者さんに
中枢性感作がみられました。

中枢性感作があると、
体の不調をより強く感じやすくなり、
症状が重くなりやすい可能性があります。

そのためPOTSでは、
自律神経だけでなく、
脳や神経の過敏さにも目を向けた診療が大切です。

「検査では軽いのにとてもつらい」
そんな患者さんの苦しさを理解するうえで、
とても重要な研究だといえるでしょう。

【当院からのご案内】

那覇市・浦添市・沖縄県で
めまい・立ちくらみ・動悸・頭痛・しびれ・だるさにお悩みの方へ。

シーサー通り内科リハビリクリニックでは、
めまい、立ちくらみ、動悸、頭痛、しびれ、だるさなどの症状について、
内科・脳神経内科の視点から丁寧に診療しています。

「立つとつらい」
「朝からしんどい」
「頭痛やしびれが続く」

このような症状は、
自律神経の乱れや生活習慣病、脳や心臓の病気などが
関係していることもあります。

那覇市・浦添市・沖縄県で
めまい外来・頭痛外来・内科診療をご希望の方は、
他の病気との見分けも含めて、ぜひご相談ください。

症状の背景を整理し、
必要な検査や治療、生活面の工夫まで含めて、
一人ひとりに合わせた診療を行っています。

シーサー通り内科リハビリクリニックへ
お気軽にご相談ください。

引用・参考文献

Mathew GT, Novak P.
Prevalence of Central Sensitization in Postural Tachycardia Syndrome.
JAMA Network Open. 2026;9(1):e2553694.
doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.53694