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抗精神病薬で起こる薬剤性パーキンソンとは?症状・原因・薬ごとの違いを沖縄県那覇市・浦添市の神経内科専門医がわかりやすく解説
はじめに
抗精神病薬は、統合失調症や双極性障害、
うつ病の補助治療などで使われる大切な薬です。
一方で、薬の影響で体が動かしにくくなる
薬剤性パーキンソニズムが起こることがあります。
これは、手のふるえ、動作の遅さ、筋肉のこわばり
などが出る状態で、見た目はパーキンソン病に
似ることがあります。
今回の研究では、抗精神病薬の「試験室での性質」と、
実際の診療現場での副作用リスクがどのくらい
結びつくのかが調べられました。
その結果、薬によって薬剤性パーキンソニズムの
起こりやすさに差があり、特に
脳に届きやすさと受容体から離れる速さが
重要なヒントになることが示されました。
【薬剤性パーキンソニズムとは?抗精神病薬の副作用】
薬剤性パーキンソニズムは、薬の作用で
脳内のドパミンの働きが弱まり、
パーキンソン病に似た症状が出る状態です。
ドパミンは、体をなめらかに動かすために重要な
神経伝達物質です。これが十分に働かないと、
動きがぎこちなくなります。
抗精神病薬は、脳のドパミンD2受容体に作用して
症状を改善します。受容体とは、
細胞が情報を受け取る「鍵穴」のような場所です。
ただし、この働きが強すぎると、必要なドパミンまで
抑えてしまい、手足のふるえや動きの遅さ、
表情の乏しさなどにつながることがあります。
症状は高齢者で目立ちやすく、もともと脳の病気が
ある方では判断が難しいこともあります。
そのため、早めの気づきがとても大切です。
【抗精神病薬のリスク比較|どの薬で起こりやすい?】
この研究では、8種類の抗精神病薬について、
実際の医療データを用いて比較が行われました。
その結果、ハロペリドールが最も
薬剤性パーキンソニズムのリスクが高く、
反対にアリピプラゾールとクエチアピンは
比較的低い傾向でした。
オランザピン、クロザピン、リスペリドン、
ジプラシドンは中間からやや高め、
アミスルプリドはそれよりやや低めでした。
ここで大事なのは、
「新しい薬だから必ず安全」というわけでも、
「古い薬だから必ず危険」というわけでも
ないことです。
薬の特徴、量、患者さんの年齢、
ほかの病気や併用薬によって、
実際のリスクは変わります。
また、この研究では
アリピプラゾールが少し特別な動きを示しました。
これは、同じD2受容体に作用しても、
他の薬とは作用のしかたが少し違うためです。
【最新研究が示したポイント|脳への届きやすさが重要】
今回の研究で特に注目されたのは、
薬が受容体にどれだけ強くくっつくかだけではなく、
どのくらいの速さで離れるかという点でした。
さらに、薬が血液脳関門をどれくらい通って
脳に届くかも重要でした。
血液脳関門とは、血液中の物質が脳に入るのを
調節する「関所」のような仕組みです。
研究では、この
「受容体から離れる性質」と
「脳への届きやすさ」を組み合わせた指標が、
実際の副作用リスクと最もよく一致しました。
つまり、試験管の中で強く作用する薬でも、
脳に届きにくければ副作用は思ったほど
強く出ないことがあります。
逆に、脳によく届く薬では、
現場での副作用が目立つ可能性があります。
これは、薬の安全性を考えるうえで
とても実用的な視点です。
ただし、この研究には限界もあります。
1つの医療機関のデータであること、
すべての抗精神病薬を十分に検討できたわけでは
ないことなどです。
そのため、今回の結果だけで
個々の患者さんの危険度を断定することはできません。
実際の診療では、症状や年齢、背景疾患を
合わせて判断する必要があります。
抗精神病薬は、必要な方にとって
非常に重要な治療薬です。
一方で、体の動きの変化に気づいたら、
自己判断で中止せず、主治医に早めに相談しましょう。
副作用を正しく知ることは、
薬を怖がるためではなく、
安心して治療を続けるために大切です。
引用・参考文献
Lim WT, Lee HW, Kim S, et al.
Comparison of In Vitro Metrics With Real-World Risk of
Drug-Induced Parkinsonism Due to Antipsychotic Drugs:
Retrospective Cohort Study.
JMIR Public Health and Surveillance. 2026;12:e81876.
doi:10.2196/81876
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