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脳神経内科認知症

肉は認知症に悪い?良い?APOE遺伝子で変わる最新研究を医師が解説

肉は認知症に悪い?良い?

最新研究からわかった本当の関係

「肉は健康に悪いのでは?」
「認知症予防には控えた方がいい?」
このような疑問を持つ方は多いと思います。

一方で、高齢になるほど筋肉や体力を維持するために、
たんぱく質をしっかり取ることが大切とも言われています。

では、肉は脳にとって良いのでしょうか。
それとも控えるべきなのでしょうか。

最近の研究では、遺伝子の違いによって
肉の影響が変わる可能性
が示されました。
今回はそのポイントを、わかりやすく解説します。

【肉と認知症リスクの関係】

これまで、肉の食べすぎは
生活習慣病のリスクを上げると考えられてきました。

そのため、「肉=体に悪い」というイメージを
持っている方も多いかもしれません。

しかし今回の研究では、
高齢者を長期間追跡した結果、
肉の摂取量と認知機能には
単純ではない関係がある
ことが分かりました。

特に注目されたのが、
APOE(アポイー)という遺伝子です。

これは脂質の運搬に関わる遺伝子で、
その中でも「ε4」というタイプを持つ人は、
アルツハイマー病のリスクが高いことが知られています。

研究の結果、
APOE ε4を持つ人では、
肉をある程度しっかり食べている人の方が、
認知機能の低下がゆるやか
という傾向が見られました。

一方で、ε4を持たない人では、
このようなはっきりした差はありませんでした。

つまり、「肉は悪い」と一括りにするのではなく、
人によって影響が違う可能性があるのです。

【重要なのは“肉の種類”】

ここで特に重要なのが、
どんな肉を食べるかという点です。

研究では、以下のような違いが見られました。

・ハムやソーセージなどの加工肉
→ 認知症リスクに不利な可能性

・牛肉や豚肉(未加工)や鶏肉
→ 大きな悪影響は確認されず

加工肉とは、塩分や添加物を使って
保存性を高めた食品のことです。

これらは血管への負担や炎症を引き起こし、
脳にも悪影響を及ぼす可能性があります。

一方で、赤身肉や鶏肉は、
たんぱく質、鉄、ビタミンB群など、
脳や筋肉に必要な栄養を含んでいます。

特に高齢者では、
栄養不足が認知機能低下の一因になるため、
適度な肉の摂取はむしろ重要と考えられます。

「肉を減らす」ことよりも、
加工肉を減らし、質の良い肉を選ぶことが大切です。

【この研究の正しい理解】

今回の研究はとても興味深いですが、
いくつか注意点もあります。

まず、この研究は
「観察研究」と呼ばれるものです。

これは、生活習慣と病気の関係を調べるもので、
原因を完全に証明するものではありません。

つまり、
「肉を食べると認知症が防げる」と
断言できるわけではないのです。

また、この研究は
スウェーデンの高齢者が対象です。

食生活や体質が異なる日本人に
そのまま当てはまるとは限りません。

さらに、APOE遺伝子は
一般診療で必ず調べるものではなく、
遺伝子だけで食事を決める段階ではありません。

ただし、この研究が示しているのは、
とても重要なポイントです。

それは、
「認知症予防は人それぞれ違う」
という時代になってきた
ということです。

今後は、体質、年齢、筋肉量、生活習慣などを
総合的に考えた予防が重要になります。

まとめ

今回の研究からわかることは、
とてもシンプルです。

・肉は一概に悪いとは言えない
・遺伝子によって影響が異なる可能性がある
・加工肉は控えめが望ましい
・栄養不足は認知機能低下につながる

つまり大切なのは、
バランスの良い食事です。

魚、肉、豆、野菜をバランスよく取り、
運動や睡眠、血圧・糖尿病管理を行うことが、
認知症予防の基本になります。

極端な食事制限ではなく、
「続けられる健康習慣」を意識していきましょう。

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引用

Norgren J, Carballo-Casla A, Grande G, et al.
Meat Consumption and Cognitive Health by APOE Genotype.
JAMA Network Open. 2026;9(3):e266489.
https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2026.6489