ブログ

脳卒中脳神経内科

スタチンでくも膜下出血を予防?最新研究が示す意外な効果とは

スタチンとくも膜下出血の意外な関係とは?

〜高血圧や脳疾患を持つ方に朗報〜

くも膜下出血は突然の意識障害や激しい頭痛を引き起こし、命に関わることもある脳卒中の一種です。そんな中、血中コレステロールを下げる薬「スタチン」が、くも膜下出血のリスクを下げる可能性があるという最新の日本の研究結果が発表されました。

今回はこの注目すべき研究内容を、3つの観点からわかりやすくご紹介します。

【くも膜下出血とは?命に関わる脳卒中の一種】

くも膜下出血(SAH)は、脳の血管が破れて出血する病気で、突然の激しい頭痛や意識障害を引き起こします。原因の多くは「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」という血管のこぶの破裂です。

手術による予防(クリッピングやコイリング)もありますが、小さな動脈瘤は破裂する前に発見されにくく、リスクの高い方でも発症を完全に防ぐことは難しいのが現状です。

そのため、「薬による予防」が期待されており、なかでも注目されているのがスタチンという薬です。

【スタチンとは?血管を守る薬の意外な効果】

スタチンは主に高コレステロール血症の治療に使われる薬で、心筋梗塞や脳梗塞の予防にも効果があります。最近では「血管を守る(血管保護作用)」という効果も注目されています。

今回の研究は、日本全国の健康保険データを用いて、くも膜下出血を起こした3,498人と、年齢や性別などをマッチさせた13,992人の健康な人を比較。その結果、スタチンを使用していた人では、くも膜下出血のリスクが約19%低下していることがわかりました(調整後オッズ比0.81)。

特に効果が顕著だったのは、高血圧や脳血管疾患(脳梗塞など)の既往歴がある人です。

【誰がスタチンの恩恵を受けやすい?副作用や注意点も】

研究では「高血圧」や「脳卒中経験者」で、スタチンの予防効果が高まることが示されました。これらの方は、もともとくも膜下出血のリスクが高く、スタチンの抗炎症作用や血管内皮保護作用が、動脈瘤の進行や破裂を抑えている可能性があります。

副作用としては、筋肉痛や肝機能の軽度の異常が報告されていますが、ほとんどは一過性で重篤なものは稀です。

また、手術が困難な人(高齢者や持病がある方)にとっては、スタチンが「非侵襲的な予防策」として重要な選択肢になるかもしれません。

【まとめと医師からのひとこと】

スタチンがくも膜下出血のリスクを下げる可能性があるという今回の研究は、今後の予防戦略に大きな影響を与える可能性があります。特に高血圧や脳卒中の既往がある方にとっては、主治医と相談しながらスタチンの使用を検討してもよいでしょう。

ただし、すべての方に当てはまるわけではありません。薬の効果や副作用は人によって異なりますので、医療機関での相談が大切です。

【参考文献】

Hagiwara M, Maeda-Minami A, Matano F, et al. Association Between Statin Use and Risk of Subarachnoid Hemorrhage: A Case-Control Study Using Large-Scale Claims Data. Stroke. 2025;56:00–00. doi:10.1161/STROKEAHA.124.049997

【当院では】

当院では、動脈硬化・脳卒中予防の専門外来を行っております。コレステロールや血圧の管理、動脈硬化の評価(血管年齢・頸動脈エコーなど)も対応可能です。スタチン治療や予防についてのご相談は、お気軽に「シーサー通り内科リハビリクリニック」までお問い合わせください。