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【若年脳梗塞とPFO】卵円孔開存症と脳卒中リスクをわかりやすく解説
卵円孔開存と脳卒中の意外な関係とは?
生まれつき心臓に「小さな穴」が空いている人が、実は4人に1人もいることをご存知ですか?
それが「卵円孔開存(PFO)」です。通常は無害ですが、ある条件がそろうと、脳梗塞(特に若い人の脳卒中)の原因になることがあります。
今回は、最新のJAMA誌に掲載された総説をもとに、卵円孔開存と脳卒中の関係について、3つの観点からわかりやすく解説します。
【1】PFOとは?誰にでもある心臓の「隠れた通り道」
PFO(Patent Foramen Ovale)は、胎児のころに必要だった心臓の通路が、生まれたあともふさがらずに残っている状態です。
本来は出生後に自然に閉じるものですが、約25%の人には閉じずに残っています。多くは無症状ですが、この穴を通って血栓が脳に流れると、「パラドキシカル・エンボリズム(奇異性塞栓)」と呼ばれる現象が起き、脳梗塞の原因となることがあります。
特に、他に原因が見つからない「原因不明の脳卒中(クリプトジェニックストローク)」のうち、若年者では約半数がPFOを持っていたという報告もあります。
【2】どんな人がPFOによる脳卒中になりやすい?
PFOを持っていても、すべての人が脳卒中になるわけではありません。
「RoPEスコア」や「PASCAL分類」と呼ばれる評価ツールを使って、PFOが脳梗塞の「原因」である可能性を評価します。
以下の条件にあてはまるほど、PFOが原因の可能性が高まります。
- 高血圧や糖尿病などのリスクがない
- 60歳未満
- 画像で「皮質梗塞」が確認される
- 心エコーで「大きなシャント」や「心房中隔瘤」がある
こうした「PASCAL分類」で「Probable(原因である可能性が高い)」と評価された人は、PFO閉鎖により脳卒中の再発リスクが約90%も減少したという報告があります。
一方で、PFOが偶然見つかっただけの可能性が高い人(PASCAL“Unlikely”)は、閉鎖しても効果が少なく、逆に心房細動などの副作用が起こりやすくなるため注意が必要です。
【3】治療はどうする?PFO閉鎖か薬物治療かの選択肢
PFOによる脳卒中が疑われる場合、「カテーテルでのPFO閉鎖」か「抗血栓薬での予防」のいずれかが選択されます。
以下のような特徴があります。
●PFO閉鎖術のメリット
- 脳卒中の再発リスクが半分以下に減少(特に選ばれた若年者で有効)
- デバイスが血管内で閉鎖され、将来的なリスクを物理的に排除
●PFO閉鎖術のリスク
- 手技に伴う心房細動(約3〜5%)
- 非常にまれですが、血管損傷や塞栓、感染などの合併症
●薬物療法の利点
- 侵襲がなく安全
- 抗血小板薬または抗凝固薬による再発予防
一部の研究では、抗凝固薬(ワルファリンやDOAC)が抗血小板薬よりも再発予防効果が高い可能性が示されていますが、出血リスクも考慮する必要があります。
まとめ:若年性脳卒中ではPFOの評価が重要です
卵円孔開存は誰にでもある身近な「心臓の穴」ですが、条件がそろうと脳卒中のリスク因子になり得ます。
特に若年者の原因不明の脳卒中では、PFOの評価と、RoPEスコアやPASCAL分類に基づいた治療方針の決定が大切です。
脳卒中の再発予防のためには、PFO閉鎖に加え、生活習慣の見直しや血圧・血糖・脂質の管理など、総合的なケアも重要です。
当院(シーサー通り内科リハビリクリニック)では、PFOの診断サポートを行っております:「若くして脳卒中になったが原因がわからない」「PFOがあると言われたけど、どうしたらいいの?」という方は、ぜひご相談ください。
引用文献
Kent DM, Wang AY. Patent Foramen Ovale and Stroke: A Review. JAMA. Published online July 28, 2025. doi:10.1001/jama.2025.10946
