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「セマグルチドとチルゼパチドに認知症・脳卒中予防効果 最新研究で明らかに」

【GLP-1受容体作動薬(セマグルチド・チルゼパチド)とは?】

近年、糖尿病や肥満の治療薬として注目されている「GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)」という薬があります。
このGLP-1RAには、血糖値を下げるだけでなく、体重減少や心血管リスクの低下といったメリットも報告されています。

今回紹介するのは、GLP-1RAの中でも新しい「セマグルチド(商品名:オゼンピック、リベルサス、ウゴービ)」と「チルゼパチド(商品名:マンジャロ、ゼップバウンド)」が、認知症や脳卒中のリスクを減らす可能性があるという米国の大規模研究の結果です。

【認知症と脳卒中のリスクを減らす効果】

この研究では、米国の電子カルテデータを用いて、2型糖尿病と肥満のある60,860人を対象にGLP-1RAを使用した群とその他の糖尿病治療薬を使用した群を比較しました。

その結果、GLP-1RA群では以下のような効果がみられました。

  • 認知症のリスクが約37%低下(ハザード比0.63)
  • 脳卒中のリスクが約19%低下(ハザード比0.81)
  • 全死亡率も約30%低下(ハザード比0.70)

特に、60歳以上の方、女性、BMIが30〜40の方で効果が顕著だったことも注目されました。
このことから、GLP-1RAは糖尿病や肥満の管理だけでなく、将来的な認知症や脳卒中の予防にもつながる可能性があると考えられます。

【なぜ脳にも良いの?薬の働きと仕組み】

GLP-1受容体作動薬は、腸ホルモンである「GLP-1」の働きを強める薬です。
GLP-1は、食後に分泌され、インスリンの分泌を助けたり、食欲を抑えたりする作用があります。

最近の動物実験や細胞実験では、GLP-1RAが以下のような脳への保護効果を示すことが報告されています。

  • アルツハイマー型認知症に関連するアミロイドβやタウタンパク質の蓄積を減らす
  • 脳の炎症や酸化ストレスを抑える
  • 脳血管の働きを良くする

これらの作用により、神経細胞の機能を保ち、認知機能の低下や脳卒中の発症を防ぐことが期待されているのです。

【今後の展望と注意点】

GLP-1RAはもともと糖尿病や肥満の治療薬として使われており、日本でも使用されています。
今回の研究は観察研究であり、薬の使用が因果的に病気の予防につながるかどうかは、今後のランダム化比較試験での検証が必要です。

また、薬の使用には個別のリスクや副作用もあるため、自己判断で使用することは避けましょう。
特にチルゼパチドは比較的新しい薬であり、長期的な影響については今後の研究が待たれます。

【まとめ】

GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドとチルゼパチドは、糖尿病や肥満の治療薬としての効果に加え、認知症や脳卒中の予防効果も期待されることが明らかになりました。
健康寿命を延ばす一助として、今後さらに注目される薬剤といえるでしょう。

【引用文献】

Lin HT, Tsai YF, Liao PL, Wei JC. Neurodegeneration and Stroke After Semaglutide and Tirzepatide in Patients With Diabetes and Obesity. JAMA Network Open. 2025;8(7):e2521016. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.21016