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骨粗しょう症薬で認知症リスクが下がる?最新研究で明らかに
骨粗しょう症の薬が認知症予防に?最新研究が示す意外な効果
高齢化社会が進む中、「認知症」と「骨粗しょう症」は多くの方が直面する可能性のある病気です。そんな中、骨粗しょう症の治療薬として広く使われている「ビスホスホネート」に、認知症予防の効果があるかもしれないという興味深い研究結果が報告されました。
今回は、2025年に発表された香港での大規模研究をもとに、【ビスホスホネートと認知症リスクの関係】についてわかりやすく解説します。
【研究の概要と注目ポイント】
キーワード:ビスホスホネート、認知症、骨粗しょう症
この研究では、2005年から2020年にかけて、60歳以上で骨粗しょう症または骨折の診断を受けた12万人以上の患者さんのデータを解析しました。主に検討された薬は「ビスホスホネート」と呼ばれる骨吸収抑制薬で、以下の4種類が対象です:
- アレンドロン酸
- イバンドロン酸
- リセドロン酸
- ゾレドロン酸
患者さんたちは、「ビスホスホネートを使っていた人」と「使っていなかった人」、「他の骨粗しょう症治療薬を使っていた人」で比較されました。
その結果、ビスホスホネートを使用していた人は、使っていない人や他の薬を使っていた人に比べて、アルツハイマー病やその他の認知症の発症リスクが有意に低いことが分かりました。
【どのくらい予防効果があったのか?】
キーワード:発症リスク、予防、効果量
研究では、以下のような結果が得られました:
- 認知症発症のリスクは、未治療の人に比べて16%低下(HR=0.84)
- 他の骨粗しょう症薬使用者に比べても24%低下(HR=0.76)
- 5年間で認知症を1人防ぐのに必要な人数(NNT)は48人
つまり、ビスホスホネートを48人に5年間使用すると、1人の認知症を防げる可能性があるという計算です。これは、非常に実用的なインパクトを持つ数字といえます。
【なぜ骨の薬が脳に効くのか?】
キーワード:メバロン酸経路、神経保護作用、炎症
ビスホスホネートが認知症に効く可能性がある理由は、体内の「メバロン酸経路」に働きかけるからだと考えられています。
この経路は本来、骨の破壊を担う細胞(破骨細胞)の働きを抑えるためにターゲットとされます。しかし、脳の中でもこの経路が関与しており、異常なタンパク質の蓄積(アミロイドβやリン酸化タウ)に関係していることが示されています。
実際に、動物実験ではビスホスホネート投与によって記憶力が改善し、脳内の炎症や異常なタンパク質が減ったという報告もあります。
【今後の可能性と注意点】
今回の研究は、非常に多くのデータを用いた信頼性の高い結果ですが、「ビスホスホネート=認知症予防薬」と断定するには、さらなる研究が必要です。
今後、以下のような点が検討されることが期待されます:
- 認知機能が低下し始めた人への効果
- 骨粗しょう症がない人への予防的使用の可否
- 他の薬(例:スタチン)との相乗効果
また、ビスホスホネートはあくまで医療用医薬品であり、自己判断での使用は避けるべきです。骨粗しょう症や骨折のリスクがある人、認知症リスクの高い人(例:APOE4遺伝子を持つ人)などは、主治医と相談のうえで治療方針を決めることが大切です。
【まとめ】
- 骨粗しょう症薬「ビスホスホネート」が、認知症リスクを抑える可能性が示された
- 5年間使用で1人の認知症を防げる「NNT=48」という効果が確認された
- 骨と脳の両方を守る薬として、今後の研究に期待が集まっている
【参考文献】
- Sing CW, Chan KH, Chiu PKC, et al. Bisphosphonates and the risk of dementia in patients with osteoporosis or fragility fracture: A population-based study in Hong Kong. Alzheimer’s & Dementia. 2025;21:e70503. https://doi.org/10.1002/alz.70503
【当院の取り組み】
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、骨粗しょう症や認知症の早期発見と予防に力を入れています。骨密度検査や認知機能スクリーニング、生活指導を通じて、地域の皆さまの健康を支えます。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
