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「お酒と認知症の深い関係|大量飲酒が脳に及ぼす影響と最新研究」
お酒と脳の関係|大量飲酒が認知症に与える影響とは?
お酒を楽しむ方は多いですが、長期間にわたる過剰な飲酒が脳にどのような影響を与えるか、ご存知でしょうか。
2025年に発表された最新の研究では、飲酒習慣が脳の老化や認知症に関わる仕組みが詳細に解析されました。
この記事では、飲酒と脳の健康について、3つの観点から分かりやすく解説します。
【1】お酒と脳の老化|脳の萎縮が進む理由
今回紹介する研究は、ブラジルのBiobank for Aging Studiesのデータをもとに、約1,800人を対象に実施されました。
飲酒習慣を「飲まない人」「中程度」「多量」「以前多量に飲んでいた人」に分けて、脳の変化を解剖で確認しています。
特に注目すべきは、「以前に多量に飲んでいた人」で、脳の重さを身長で割った値(脳質量比)が低下していた点です。
脳が小さくなる、つまり萎縮している状態で、これは認知機能の低下と関連します。
また、長期間の多量飲酒は、神経細胞内に「タウたんぱく(神経原線維変化)」がたまる傾向が強く、これはアルツハイマー型認知症の特徴の一つです。
このように、習慣的な大量飲酒は、加齢に伴う脳の老化を早める危険性が高いといえます。
【2】飲酒と血管性病変|細い血管を傷つける
研究では、飲酒が脳血管に与える影響も詳細に調べられました。
中程度から多量飲酒のグループでは、脳の細動脈に「硝子様硬化(ヒアリン動脈硬化)」という変化が増えていました。
硝子様硬化とは、血管の壁が硬く厚くなる現象で、血液の流れが悪くなり脳の細胞に酸素や栄養が届きにくくなります。
これが続くと、認知機能が低下するだけでなく、脳梗塞のリスクも高まります。
この研究では、認知機能の低下と飲酒の関係は、**この硝子様硬化によって説明できる(完全に媒介される)**ことが示されました。
つまり、飲酒が血管を傷め、その結果として認知症が進むという構造が明らかになったのです。
【3】飲酒量と認知機能|「やめたから大丈夫」ではない
興味深いのは、「以前に多量飲酒をしていたが現在は飲まない人」でも、脳に悪影響が残っていた点です。
このグループでは、脳の萎縮が進み、認知機能が低い傾向がありました。
具体的には、認知症の進行度を表す「Clinical Dementia Rating Scale(CDR)」で悪化が確認され、
過去の飲酒習慣が長く続いていた可能性があります。
残念ながら、この研究では飲酒の期間が詳細にわからないため、どの程度の断酒で回復するかは不明です。
しかし、「一度脳にダメージが蓄積すると完全には戻らない」リスクが示唆されています。
このことからも、脳の健康を守るためには、早めに飲酒習慣を見直すことが重要です。
まとめ|脳を守るために知っておきたいこと
長期間の大量飲酒は、脳の萎縮、神経の変性、脳血管の硬化を通じて認知機能の低下を引き起こすことが、今回の研究で明確になりました。
飲酒量を減らし、血圧や糖尿病をしっかり管理することが、認知症予防に直結します。
もし、「お酒をやめたいけれどやめられない」とお悩みの方は、ぜひ専門医や支援団体に相談してください。
健康寿命を延ばすために、できるだけ早く行動を始めましょう。
参考文献
Justo AF et al. Association Between Alcohol Consumption, Cognitive Abilities, and Neuropathologic Changes: A Population-Based Autopsy Study. Neurology. 2025;104(9). DOI:10.1212/WNL.0000000000207356
