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マラリア感染は世界で今も深刻?イベルメクチンと日本への影響を解説
【世界では今も深刻なマラリア感染】
マラリアは、今も世界で毎年約2億5,000万人が感染し、60万人以上が命を落としている感染症です。
特に影響を受けているのはアフリカ諸国で、世界のマラリアによる死者のうち約95%がアフリカ地域で発生しており、死亡者の多くは5歳未満の子どもです。
世界のマラリア状況(2022年 WHO報告より)
- 感染者数:約2億4,900万人
- 死亡者数:約60万8,000人
- 死亡の95%以上がアフリカ
- 5歳未満の子どもが死者の77%
長年にわたり、殺虫剤入りの蚊帳や殺虫剤の室内散布などが普及し、2000年から2015年にかけてマラリアの発症率は81%減少しました。
しかし近年では、蚊の殺虫剤耐性の拡大や「屋外での吸血」など蚊の行動変化により、その効果に限界が出てきています。
【日本での流行リスクは?現状と将来の備え】
日本国内では、現在マラリアの「国内感染」はほとんど発生していません。報告される年間100~150例は、主に**海外で感染して帰国後に発症する「輸入例」**です。
マラリアが国内で流行するためには、以下の3つの条件が必要です。
| 条件 | 現状(日本) |
| マラリア原虫を持つ人がいる | インバウンドや渡航者により今後増加の可能性あり |
| 媒介蚊(ハマダラカ)がいる | 日本でも一部地域(九州・沖縄)に生息が確認されている |
| 原虫が蚊の体内で発育できる気温 | 温暖化により活動可能エリアが拡大する可能性あり |
つまり、現時点では流行リスクは低いものの、地球温暖化や国際交流の影響により、将来的に流行の条件がそろう可能性もあると考えられます。
【イベルメクチンがマラリア対策の切り札になるか】
そんな中、注目されているのが、**日本人研究者・大村智博士が発見した「イベルメクチン」**です。
イベルメクチンは、もともと寄生虫疾患の治療薬として広く使われており、オンコセルカ症やフィラリア症などの熱帯病対策として数十億回以上投与された実績がある、安全性の高い薬です。
このイベルメクチンには、「服用した人の血を吸った蚊が死ぬ」という特徴があります。
この作用を利用して、蚊の数を減らし、マラリアの伝播を抑える効果が期待されているのです。
【2025年の大規模研究で効果が証明される】
2025年7月、New England Journal of Medicine に発表された臨床試験(BOHEMIA試験)では、ケニアの感染多発地域にて、以下の結果が報告されました。
- イベルメクチンを月1回、3か月間住民に投与
- → 6か月後のマラリア感染率が26%低下(有意差あり)
- → 安全性にも問題なし(重篤な副作用の増加は認められず)
これは、すでに蚊帳の使用率が高い地域で行われた研究であり、既存の対策に加える「追加的な武器」として有望であることを示しています。
【まとめ:マラリアを正しく知り、未来の備えを】
マラリアは世界では依然として深刻な感染症であり、地球温暖化と国際化が進む中で、日本でも将来的に局所的なリスクが高まる可能性があります。
現時点で日本における流行リスクは高くありませんが、冷静に状況を見極め、正しい知識を持つことが大切です。
そして、イベルメクチンという薬が、今また世界の感染症対策に大きく貢献しようとしているのです。
【参考文献】
- Chaccour C, et al. Ivermectin to Control Malaria — A Cluster-Randomized Trial. N Engl J Med. 2025;393(4):362–375.
