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気温の変化が命を奪う?心疾患と“暑さ・寒さ”の驚きの関係とは
気温が高すぎても低すぎても心臓に悪い!? 世界規模の研究から見えてきた真実
最近の研究で、「寒さ」や「暑さ」が、心臓病による死亡の大きな原因となっていることが明らかになりました。
この記事では、2025年に発表された最新の国際研究をもとに、「どれくらいの影響があるのか」「どの国がとくに深刻なのか」「私たちにできる対策はあるのか」という3つの視点から解説していきます。
【気温と心疾患の意外な関係】
心臓病(心血管疾患:CVD)は、現在も世界の死因のトップに君臨しています。
今回の国際共同研究では、2000年から2021年の22年間にわたり、気温の変動による心臓病による死亡の「経済的損失=死亡コスト」を計算しました。
その結果、気温が最適な範囲を外れた「非最適な気温」(たとえば、極端な寒さや暑さ)が心疾患の死亡リスクを高め、全世界で年間8000億ドル(約120兆円)以上の経済損失を生んでいることが明らかになりました。
中でも注目すべきは、寒さによる影響がまだ大きい一方で、暑さによる影響が急速に拡大しているという点です。
【中国で死亡コストが700%以上増加!地域差が明らかに】
この研究では、各国・各地域の死亡コストの違いも詳しく分析されています。
特に驚くべきなのは中国の変化です。中国では22年間で心疾患による死亡コストが約752%も増加し、2021年には年間2300億ドルに達しました。
また、死亡コストの総額がもっとも高かった国は以下の5つです:
- アメリカ
- 中国
- ロシア
- 日本
- ドイツ
この5カ国で、全世界の死亡コストの半分以上を占めており、先進国と経済成長中の国に大きな負担がかかっていることがわかります。
一方で、GDPに対する死亡コストの割合がもっとも高かった国は、ラトビアやブルガリア、クウェートなどで、国の経済規模に比して非常に大きな健康被害が生じていることを示しています。
【気温と死亡リスクを減らすために私たちができること】
では、私たちはどう対策すればよいのでしょうか?
研究者たちは、温暖化対策に加えて、気温の変化から身を守る「適応策」が必要だと述べています。たとえば:
- 【暑さへの対策】
エアコンの設置、都市の緑地化、ヒートアイランド対策、暑さ警報の導入など。 - 【寒さへの対策】
家の断熱強化、暖房支援、冬季警報、寒波時の高齢者支援など。
特に、高齢者は気温の影響を受けやすく、2021年には65歳以上の方々が関連死亡コストの63%を占めていたというデータも出ています。
また、所得格差のある国ほど影響が大きく、低所得者層ほど気温による健康被害を受けやすいという社会的課題も明らかになっています。
【まとめ:気候変動は「健康問題」でもある】
この研究は、気候変動が単なる「気象の問題」ではなく、私たちの命と経済に直結する「健康問題」であることを示しています。
地球全体として温暖化対策を進めるのはもちろんですが、私たち個人レベルでも、
- 暑い日は無理な運動を控える
- 寒い日はしっかり防寒する
- 高齢の家族や知人に声をかける
- 定期的に健康診断を受ける
といった、小さな行動の積み重ねが命を守ることにつながります。
【引用元】
Faridi S, Yin H, Khanizadeh M, et al. Global, regional and national cardiovascular mortality costs associated with non-optimal temperatures over two decades (2000–2021). Environment International. 2025;202:109693. https://doi.org/10.1016/j.envint.2025.109693
