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MIND食で脳を守る!認知症予防と海馬硬化の最新研究
【MIND食とは:脳を守る食事の基本】
MIND食は、地中海食と高血圧予防食(DASH食)を組み合わせた、脳の健康を保つことを目的とした食事法です。緑の葉野菜やベリー、全粒穀物、ナッツ、魚、豆、鶏肉などを積極的に取り入れ、調理油にはオリーブオイルを使うことが基本とされます。一方で、赤身肉やバター、揚げ物、菓子、ファストフードなどは控えめにします。要は「脳に良い食品を増やし、負担になる食品を減らす」というシンプルな考え方です。
【海馬硬化と記憶の関係】
海馬は脳の奥に位置し、新しい記憶を作る重要な役割を担っています。しかし高齢になると、この海馬がやせ細り、神経細胞が減ってしまう「海馬硬化」という状態が見られることがあります。海馬硬化は、反応性の星状膠細胞の増加や、TDP-43というたんぱく質の異常蓄積(LATEと呼ばれる状態)を伴うことが多く、記憶障害や認知症の一因と考えられています。つまり、海馬硬化を防ぐことは、認知症予防に直結するといえるのです。
【最新研究が示すMIND食の効果】
アメリカ・ラッシュ大学の大規模な追跡研究では、809人の高齢者を対象に、生前の食事習慣と死亡後の脳病理所見を比較しました。その結果、MIND食スコアが高い人ほど、海馬硬化がみられる頻度が低いことがわかりました。スコアが1点上がるごとに海馬硬化のオッズは約22%低下し、TDP-43異常を伴う場合でも同様の傾向が確認されました。さらに、海馬における神経細胞の喪失も軽くなる傾向があったのです。これは観察研究であり、直接的な因果関係を断定するものではありませんが、非常に示唆に富む結果といえます。
同コホートではすでに、MIND食を続けている人の方が加齢に伴う認知機能低下が緩やかであることも報告されており、臨床試験でも数年間の実践で認知機能が改善する結果が出ています。今回の病理学的研究は、それらの臨床的効果を裏付ける一つの証拠といえるでしょう。
【実践のポイントと注意点】
MIND食を日常に取り入れるには、まず「足す食材」と「減らす食材」を決めることから始めると続けやすくなります。例えば、緑の葉野菜を毎日一皿、ベリー類を週2回以上、全粒穀物を毎食取り入れることを意識します。魚は週1回以上、豆類は週3回以上、ナッツは1日ひと握り程度が目安です。油はできる限りオリーブオイルを使い、バターやマーガリンは控えましょう。
日本の家庭でも、雑穀ご飯や青菜のおひたし、納豆、サバの塩焼きなど、身近な食材で十分実践可能です。朝食にヨーグルトと冷凍ベリーを添える、間食を素焼きナッツに置き換えるなど、小さな工夫を積み重ねることが大切です。
ただし、今回の研究は高齢の白人ボランティアを対象としており、すべての人に同じ効果があるとは限りません。また、食事調査は自己申告によるため誤差が生じやすく、未測定の要因も影響している可能性があります。そのため「MIND食さえやれば認知症にならない」とは言えませんが、血圧や血糖、脂質の管理、運動習慣、禁煙などと組み合わせることで、脳を守る可能性はより高まります。
【まとめ】
MIND食は、脳に良い食事パターンとして数多くの研究で支持されています。今回の解析でも、海馬硬化や神経細胞喪失との関連が低いことが示され、認知症予防の一助となる可能性があります。今日からでも始められる小さな工夫を重ね、長く続けていくことが何よりも大切です。かかりつけ医や管理栄養士と相談しながら、自分に合った形で取り入れてみましょう。
■引用情報
Agarwal P, et al. MIND Diet and Hippocampal Sclerosis Among Community-Based Older Adults. JAMA Network Open. 2025;8(8):e2526089. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.26089
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那覇市の「シーサー通り内科リハビリクリニック」では、認知症・物忘れの予防に役立つ食事・運動・生活習慣のアドバイスを行っています。高血圧や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病の管理とともに、リハビリや認知機能検査まで一貫してサポート。公式LINEやWeb予約も可能です。あなたの脳と体の健康を、地域のかかりつけ医として支えてまいります。
