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糖尿病でも“週末運動”で効果あり?最新研究が示す死亡リスク低下
【導入:糖尿病と運動の最新知見】
糖尿病の方にとって運動は健康維持の基本ですが、平日に十分な時間を確保するのは難しいものです。
「週末にまとめて運動しても効果はあるのか?」という疑問に対し、Annals of Internal Medicine誌の最新研究は、週末型の運動でも死亡リスク低下に効果があることを示しました。
【研究の概要:糖尿病患者5万人を追跡】
対象となったのは、米国のNational Health Interview Survey(1997〜2018年)に参加した糖尿病の成人5万1650人で、2019年まで死亡データを追跡した大規模前向きコホート研究です。
自己申告で運動量を把握し、中央値9.5年間追跡した結果、1万6345人が死亡していました。
【用語の整理:MVPAと推奨量】
研究で用いられたMVPAとは「中等度から高強度の身体活動」を意味します。
速歩や軽いジョギング、サイクリング、水泳などが代表例です。
世界保健機関(WHO)は、成人に対して「週150〜300分の中強度、または週75〜150分の高強度の運動」を推奨しています。
【活動パターンの分類】
参加者は次の4つの運動習慣に分類されました。
①Inactive:まったく運動しない群
②Insufficiently Active:週150分未満の運動
③Weekend Warrior:1〜2回で週150分以上を達成
④Regularly Active:3回以上で週150分以上を達成
これにより、運動の量と分散の違いが死亡率に与える影響を比較しました。
【主な結果:全死亡リスクの低下】
非活動群を基準にすると、全死亡のハザード比(HR)は、不足群0.90、週末型0.79、規則型0.83でした。
つまり、「少しでも運動する」だけで死亡リスクは下がり、週末集中型でも規則的運動と同等かそれ以上の効果が認められたのです。
【心血管死亡リスクの大幅な低下】
心血管死亡に関しては、不足群は0.98で差が乏しかったのに対し、週末型は0.67、規則型は0.81と有意に低下しました。
つまり「週末にまとめて行う運動」でも、心臓や血管の病気による死亡リスクは大幅に下げられると考えられます。
【がん死亡リスクは控えめな効果】
一方、がん死亡の低下は比較的小さく、不足群0.88、週末型0.99、規則型0.85でした。
心血管系に比べ、がんに関しては明確な差が見られにくいことも分かりました。
【なぜ効くのか:運動の総量が鍵】
週150分以上の有酸素運動は、血圧・脂質・インスリン感受性を改善し、炎症や血管機能を整えることが知られています。
今回の結果は「週にどう分散するか」よりも「合計量」が重要であることを示唆しています。
【実践ガイド:週末運動の始め方】
例えば土日に各75分、あるいは日曜に90分+60分などでもOKです。
速歩やサイクリング、水中ウォーキングを組み合わせ、無理のない範囲で続けましょう。
時間が限られる方はインターバル速歩(速歩とゆっくり歩きを交互に行う方法)も効果的です。
【筋トレも忘れずに】
糖尿病の方はサルコペニア予防も大切です。
週2回以上、自重スクワットやゴムバンドを用いた筋トレを取り入れると、血糖コントロールにも役立ちます。
【安全に続けるための注意点】
インスリンやSU薬を使用している方は、低血糖に注意が必要です。
運動前後に血糖をチェックし、補食を準備しておきましょう。
また、足の病変がある方は靴選びやフットケアも欠かせません。
【まとめ:まずは“ゼロ”をやめることから】
今回の研究で明らかになったのは「運動しないこと」が最大のリスクであるという事実です。
週末しか時間が取れなくても、週合計150分を目指すことは十分に意味があります。
できる範囲から始め、無理なく続けることが長寿への近道です。
【参考文献】
Wu Z, et al. Ann Intern Med. 2025. Association of Weekend Warrior and Other Physical Activity Patterns With Mortality Among Adults With Diabetes. doi:10.7326/ANNALS-25-00640
WHO. Guidelines on physical activity and sedentary behaviour.
ACP Journals News Release, July 22, 2025.
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