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てんかん脳神経内科

抗てんかん薬は何ヶ月で効く?治る割合・薬が効きにくい要因を専門医が解説

【治る割合と時間の目安:てんかんは「待つ力」も治療の一部】
てんかんは脳の一部が過敏に反応して起こる「発作」の病気です。
「焦点てんかん」は発作の出発点がはっきりしているタイプを指します。
最新の大規模前向き研究では、約6割が治療中に発作が止まっています。
最初の1剤だけで止まるのは全体の約27%で、多くは2剤目で到達します。
「寛解(かんかい)」は12か月以上、発作がない状態と考えるのが標準です。
最初の寛解に到達する中央値は約12か月で、思ったより時間がかかります。
一方で、薬が効きにくい「薬剤抵抗性」は約4人に1人で認められます。
ただし6〜8か月の経過で抵抗性と判断できる例もあり、見極めが大切です。
こうした数字はあくまで全体像で、個々の経過は原因や体質で変わります。
根拠:国際多施設の前向きコホート研究(JAMA Neurology 2025)。

【薬が効きにくい要因と対策:専門医とつくる“次の一手”】
薬剤抵抗性とは、適切な量で2種類の薬を試しても寛解しない状態です。
前治療の発作頻度が高い人ほど、抵抗性になりやすい傾向が示されます。
また、うつ・不安など心理的な病気を併せ持つ方は、効きにくいことがあります。
理由としては、薬の副作用の出やすさや、他の薬との相互作用が関係します。
たとえば一部の抗てんかん薬は気分に影響することがあり選択に工夫が必要。
主治医は「効き目」「副作用」「飲みやすさ」「他薬との相性」を総合判断します。
1剤目でだめでも、2剤目で寛解に到達する人は少なくありません。
十分量で一定期間試してみて、早めに「次の一手」を検討する姿勢が重要です。
薬の切り替えはあわてず計画的に。急に中止すると発作が悪化する恐れがあります。
睡眠不足・飲酒量・ストレス・発熱など誘因の管理も、薬の効きを助けます。

【生活と受診のポイント:寛解までを安全に乗り切るコツ】
最初の1年は発作リスクが高く、通院と安全対策がとても大切になります。
入浴はシャワー中心にし、浴槽では家族が声かけできる時間帯を選びます。
キッチンでは高温の油を避け、調理はできれば同伴者がいると安心です。
自転車や高所作業は主治医と相談し、夜間の単独外出は控えめにしましょう。
発作記録アプリや紙の発作日誌で、回数・時間・前触れを簡潔に残します。
記録は薬の効き方の評価や、次の治療選択にそのまま生きたデータになります。
薬は「飲み忘れ対策」が命です。ピルケースやスマホリマインダーを使いましょう。
副作用(眠気、めまい、気分の落ち込み等)を感じたら、自己中止は禁物です。
主治医に早めに共有すれば、量の調整や薬の変更で改善できることが多いです。
寛解が続いても、自己判断で減量・中止しないことが再発予防の近道です。

【用語のミニ解説(中学生にもわかる言葉で)】
焦点てんかん:発作の出どころが脳の一部分にあるタイプのてんかん。
寛解:12か月以上、発作が起きない状態。病気が「静か」になった段階です。
抗てんかん薬(ASM):発作の起きにくい状態を保つための飲み薬の総称。
薬剤抵抗性:適切な量で2種類試しても、寛解に届かない状態を指します。
モノセラピー:1種類の薬で治療すること。ポリセラピーは複数併用のこと。

【まとめ:希望は現実的に、でも確かにある】
焦点てんかんは、約6割が治療で発作ゼロに到達できる可能性があります。
多くは1年以上、時に2剤目までの地道な調整が成功への近道になります。
一方で効きにくい例もありますが、早い見極めと方針転換で道は開けます。
生活の工夫と主治医との二人三脚で、日常を少しずつ取り戻していきましょう。

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【参考・引用(リンク可)】
Barnard SN, Chen Z, et al. Treatment Response to Antiseizure Medications in
People With Newly Diagnosed Focal Epilepsy. JAMA Neurology. 2025.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/10.1001/jamaneurol.2025.2949
Kwan P, et al. Definition of drug‐resistant epilepsy. Epilepsia. 2010.
https://doi.org/10.1111/j.1528-1167.2009.02397.x
Chen Z, Brodie MJ, et al. Treatment outcomes in newly diagnosed epilepsy.
JAMA Neurology. 2018. https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/10.1001/jamaneurol.2017.3949
Marson AG, et al. SANAD II trial. Health Technol Assess. 2021.
https://doi.org/10.3310/hta25750

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