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リポ蛋白(a)[Lp(a)]とは?数値の意味・検査の受け方・動脈硬化との関係を医師が解説
私たちの血液には、コレステロールを運ぶ粒子がいくつかあります。
その一つが「リポ蛋白(a)=Lp(a)」です。遺伝的に決まることが多く、
年齢や食事の影響を受けにくいのが特徴です。
Lp(a)は、少ない人もいれば非常に多い人もいます。高い人では、
動脈硬化が進みやすく、将来の血管トラブルにつながることが
近年の大規模研究で分かってきました。
この記事では、①基礎知識、②病気との関係、③検査と対策、
の3つの観点で、やさしく整理していきます。
【① Lp(a)の基礎知識:何者?どう測る?】
Lp(a)はLDL(いわゆる悪玉)に似た粒子で、表面に“a”という
たんぱく質がくっついたものです。この形のせいで血管の壁に
炎症を起こし、プラーク(こぶ)ができやすくなります。
数値は「nmol/L」という単位で表されます。一般には一生で
大きく変わらないため、「一度は測っておく価値がある」
マーカーです。採血だけで分かり、空腹でなくても測定可能です。
基準はまだ国際的に完全統一ではありませんが、臨床では
150 nmol/L以上を「高い」とみなすことが多く、追加の評価や
管理を考える目安になります。
【② 病気との関係:脚の血管・頸動脈・脳卒中】
最新の前向き大規模研究では、Lp(a)が75 nmol/L高くなるごとに、
末梢動脈疾患(PAD)の発症リスクが約18%上がり、頸動脈狭窄は
約17%上がると示されました。数年の経過観察でも一貫した結果です。
さらに、すでにPADがある人では、Lp(a)が高いほど足の血流悪化や
切断など重大合併症(MALE)に進む危険が高まります。頸動脈狭窄が
ある人でも、脳梗塞への進展が示唆されました(いずれも調整後)。
ポイントは、LDLコレステロールなど他の危険因子を調整しても、
Lp(a)の影響が残ることです。つまり「LDLは十分下がっているのに、
なぜか動脈硬化が進む」タイプの残余リスクに、Lp(a)が関わります。
【③ 検査と対策:いつ測る?どう下げる?】
測るタイミングは、①家族に若い年齢で心筋梗塞や脳梗塞の人がいる、
②自分が若くして動脈硬化疾患を起こした/プラークが多い、
③LDLが十分でも動脈硬化が進む、などが目安です。
生活習慣でLp(a)そのものは大きくは下がりません。ただし、
禁煙、運動、体重・血圧・血糖管理、LDLをしっかり下げることは
「合併症の実リスク」を確実に減らします。ここはとても重要です。
薬物療法では、スタチンはLp(a)を下げませんが、LDL低下により
総合リスクを下げます。PCSK9阻害薬はLp(a)をやや低下させ、
イベント抑制効果も示されています。さらに、Lp(a)を狙い撃ちする
核酸医薬(アンチセンス・siRNA)は国際的に治験が進行中で、
将来の選択肢として大いに期待されています。
検査結果が高値だった場合は、「恐れる」より「戦略を立てる」
ことが大切です。頸動脈エコーや足の血流検査(ABI)などの
画像・生理検査を適切に組み合わせ、個別のリスク管理を行います。
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■ まとめ(60秒で要点)
・Lp(a)は遺伝要因が強い動脈硬化マーカー。生涯に一度は測定を。
・高いほどPADや頸動脈狭窄の発症・進行リスクが上がる。
・禁煙・運動・LDL管理は必須。新規薬の実用化にも期待。
・高値なら、頸動脈エコーやABIで“いまの血管”を見える化しよう。
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■ 参考・引用(一般向け)
・Bellomo TR, et al. Evaluation of Lipoprotein(a) as a Prognostic Marker of
Extracoronary Atherosclerotic Vascular Disease Progression. Circulation, 2025.
DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.124.073579
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.124.073579
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■ 当院からのお知らせ(コマーシャル)
シーサー通り内科リハビリクリニック(那覇)では、動脈硬化と脳卒中の
一次・二次予防に力を入れています。頸動脈エコー、下肢ABI、CTによる
動脈硬化評価、脂質・糖代謝の総合管理、運動リハまでワンストップ。
「Lp(a)が高い」「家族歴が心配」「片側のしびれ・脱力が出た」など、
気になる方は早めにご相談ください。救急が必要な症状(顔のゆがみ、
片麻痺、ろれつ不良、急な視野障害など)は、迷わず119番へ。
