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一般内科感染症

高齢者のRSVワクチンは入院をどれだけ減らす?最新エビデンス

導入
RSV(呼吸器合胞体ウイルス)は、秋冬に流行する風邪の一種です。
高齢者では重症化しやすく、肺炎や心不全悪化で入院につながります。

2023年から成人向けRSVワクチンが使えるようになりました。
では実際に、入院をどれだけ防げるのか。最新研究で解説します。

【RSVと高齢者のリスク:入院・死亡の主因を減らすには】
RSVは60歳以上で毎年多くの入院を引き起こすと推定されます。
持病の悪化も誘発し、心不全やCOPDの増悪が問題になります。

症状は発熱、咳、息切れ。軽い風邪に似ますが油断は禁物です。
免疫力が落ちた方や75歳以上は、とくに重症化しやすい層です。

感染をゼロにするのは難しく、重症化予防が現実的な対策です。
その中心がワクチン。入院や死亡をどれだけ減らせるかが鍵。

【ワクチン効果の最新エビデンス:どのくらい効く?】
米国20州26病院の大規模研究が2023〜2025年の2季節を解析。
60歳以上6958人で、RSV陽性821例と陰性対照6137例を比較しました。

結果、ワクチン1回の入院予防効果は58%(95%CI 45〜68%)。
同じ季節に接種していれば69%、前季接種では48%でした。

75歳以上では同季81%、前季59%と低下傾向が示されました。
免疫抑制のある方では効果が30%と明らかに低くなりました。

心血管疾患のある方の効果は56%、ない方は80%と差があり。
重症院内転帰(呼吸不全や死亡)に対しても保護効果が示唆。

製品間(GSK/ファイザー)で大差はなく、RSV A/B双方で有効。
ただしmRNA製剤は症例が少なく、今後のデータが必要です。

「ワクチン有効性」は予防効果を%で表した指標です。
100%に近いほど強く守れる、という意味だと考えてください。

【接種のタイミングと注意点:誰に、いつ打つ?】
米国では75歳以上は原則、60〜74歳は高リスクなら推奨です。
2025年には50〜59歳の高リスク層にも適応が広がりました。

同じ季節に打つ方が入院を防げる可能性が高い点は重要です。
「前季接種のみ」だと効果が下がる傾向が示されました。

免疫抑制や心疾患の方は反応が弱い場合があり注意が必要。
主治医と相談し、今季接種と将来の追加接種計画を立てましょう。

副反応は注射部位の痛みなどが中心で、通常は数日で改善。
発熱や息切れの悪化があれば、早めに受診してください。

感染対策は多層防御が基本です。手指衛生、換気、マスク活用。
ワクチンは「最後の砦」ではなく「大事な一枚の盾」です。

まとめ
RSVワクチンは60歳以上の入院を有意に減らすことが示されました。
とくに今季接種の効果が高く、重症転帰の抑制も期待できます。

一方で、免疫抑制や心疾患のある方では効果が低い可能性も。
対象者は今季の接種を優先し、追加接種の是非も随時検討を。

「効くかどうか」だけでなく「いつ打つか」が実務の肝心要です。
家族で予定を合わせ、流行期前の備えを進めましょう。

用語の補足
RSV:秋冬に流行。高齢者では肺炎や持病悪化の原因になります。
有効性:ワクチンで入院を何%減らせたかを示す目安の数字です。

参考・引用(リンク可)
Surie D, Self WH, Yuengling KA, ほか. 60歳以上のRSV入院予防効果。
JAMA. Published online 2025-08-30. doi:10.1001/jama.2025.15896
(本文・図表:JAMA公式サイト)
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/10.1001/jama.2025.15896

当院からのお知らせ(那覇市・シーサー通り内科リハビリ)
当院では高齢者の感染症対策を重視し、RSVや肺炎球菌、インフルの
予防接種相談を実施。CTでの胸部評価、心肺・脳の総合ケアに対応。
神経内科リハビリや骨密度測定も可能です。流行前のご相談をぜひ。