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脳神経内科認知症

会話が脳を守る?会話頻度と認知症の関係をやさしく解説

【はじめに】
毎日の会話は、脳の健康にどれほど影響するのでしょうか。日本の住民を対象にした
大規模研究(JPHC研究)から、会話頻度が低いほど認知症のリスクが高まるという
結果が報告されました。本記事では、その要点と理由、今日からできる対策を紹介し
ます。研究の出典も最後にまとめてあります。

【研究の要点】
今回の研究は、日本公衆衛生センター研究(JPHC)の参加者3万5,488人(50–79歳)
を対象に、2006–2016年の認知症発症を追跡した前向きコホートです。会話頻度は
2000–2003年に自己申告で把握され、生活習慣や既往歴を調整して解析しています。
結果、会話が少ないほど認知症リスクが上昇しました。基準を「ほぼ毎日」とすると、
「毎日・多人数」HR0.80、「毎日・数人」0.88、「週1–4回」1.18、「月1–3回」1.17、
「月1回未満」2.06でした(いずれも95%CI、傾向性p<0.001)※HRは相対危険度です。
また、同居状況での修飾は明確ではない一方、「独居男性」ではリスクが高く、
会話が多くてもHR1.71、少ない場合はHR2.60と報告されています。詳細は文末の原著
をご参照ください。PubMed

【なぜ会話が脳を守るのか】
会話は「言葉」「注意」「記憶」「感情調整」など多くの脳機能を同時に使います。
社会的つながりが多いほど認知症リスクが低いという国際的エビデンスも蓄積され、
2024年のLancet委員会は「不十分な社会的接触」を含む14の修正可能因子を整理し、
取り組みで理論上45%の症例が予防・遅延し得ると示しました。PubMedThe LancetUniversity College London
観察研究だけでなく、オンライン会話を毎日行わせる介入試験でも、記憶や実行機能
の改善が報告されています。会話という“脳の有酸素運動”が、認知予備力の維持に
働く可能性が示唆されます。PubMed

【社会背景:独居と“会話の減少”】
日本では高齢者の「毎日誰かと会話する」割合が、2018年90.2%から2023年72.5%へ
低下しました。特に独居高齢者では38.9%と大きく落ち込み、同居者ありの80.9%と
差が生じています。朝日新聞
さらに将来推計では、65歳以上の単独世帯が2020年の13.2%から2050年に20.6%へ
増える見込みです。独居の増加は「会話機会の減少」を通じ、脳の健康に影響する
懸念があります。IPSSMBAならビジネス・ブレークスルー大学大学院(BBT大学院)

【今日からできる実践】
まずは「毎日、できれば複数人と話す」を目標にしましょう。対面に限らず、電話や
ビデオ通話、職場・地域の小さな会話も立派な“脳トレ”です。買い物時のひと言、
受付での挨拶、家族LINEの音声通話など、短時間でも回数を増やす工夫が有効です。
特に独居の男性は“会話の予定”をカレンダーに組み込むのがコツ。朝夕の定時コール
や、散歩時間を近所の人と重ねるなど「習慣化」すると継続しやすくなります。
また、聞こえ・目のケア、血圧や脂質管理、運動・睡眠・食事の基本も同時に整える
ことで相乗効果が期待できます(視力・LDLは2024年に新たな因子として追加)。
PubMedThe Lancet

【注意点】
本研究は観察研究であり、因果関係を証明するものではありません。元々の性格や
初期の物忘れが会話減少を招き、その後の発症につながった可能性(逆因果)も残り
ます。ただ、JPHCの厳密な追跡設計と、他研究・介入試験の整合する結果を踏まえる
と、日々の会話を増やす価値は高いと考えられます。PubMed+1

【まとめ】
会話頻度が低いほど認知症リスクは高まる――日本の大規模研究がその関係を示しま
した。独居男性は特に注意が必要です。難しいことは要りません。今日から「毎日、
誰かと話す」。小さな一歩の積み重ねが、将来の大きな差につながります。PubMed

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【参考文献(リンク付)】
・Shimizu Y, Inoue M, Yasuda N, et al. Frequency of daily conversation…
 Archives of Gerontology and Geriatrics, 2025;105978(JPHC)。PubMed
・Livingston G, et al. Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report.
 Lancet 2024;14の修正可能因子とPAFの更新。PubMedThe Lancet
・Sommerlad A, et al. Social participation and risk of developing dementia.
 Nature Aging 2023;総説。University of Helsinki
・Dodge HH, et al. Web-enabled conversational interactions RCT(6週間)。
 Alzheimer’s & Dementia: TRCI 2015。PubMed
・内閣府『高齢社会白書(令和6年版)』:会話頻度の低下・独居の課題。
・朝日新聞デジタル:2018→2023の「毎日会話」低下・独居38.9%の報道。朝日新聞
・国立社会保障・人口問題研究所(IPSS):65歳以上単独世帯の将来推計。IPSS

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