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一般内科生活習慣病(高血圧・糖尿病など)

朝の血圧が命を守る:130mmHgの意味と家庭でできる対策

朝起きてすぐ測った血圧が高い——それが「朝の高血圧」です。日本高血圧学会は2025年、『朝活BP130キャンペーン』を掲げ、朝の収縮期血圧(上の血圧)130mmHg以上を“要注意”と位置づけました。脳卒中や心筋梗塞は朝に起こりやすく、朝の血圧を下げることが命と生活の質を守る近道になります。

この記事では、最新のJSH(日本高血圧学会)方針を一般の方向けにわかりやすく整理します。なぜ朝の130が危険なのか、今日からできる対策と正しい測り方、医療機関での治療とデジタル活用まで、3つの観点でコンパクトに解説します。

【なぜ「朝の血圧130」が危険か】

高血圧は日本で約4,300万人が抱える国民病で、コントロール良好はわずか約27%と推定されます。脳卒中や心筋梗塞、心不全、大動脈解離などの大事件は早朝に起こりやすく、朝の血圧が高いほどリスクが増えることが国内外で示されています。

特に自宅で測る朝の血圧が130mmHgを超えている人は、脳心血管イベントの危険が有意に高まります。外来での測定だけでは見逃される“家庭内の実態”を把握できるのが、家庭血圧の強みです。だからこそ、朝の値を日々チェックし、変化にいち早く気づくことが重要です。JSHは20年以上、家庭血圧に基づく治療を重視してきましたが、複数薬を内服していても朝の血圧が目標に届かない人は少なくありません。治療中の方の約7割で“朝の家庭血圧高値”が残るとの報告もあり、「130」を合言葉に、社会全体で朝の高血圧を減らす取り組みが動き出しています。

【今日からできる「測り方」と10の生活対策】

まずは測り方です。朝起床から1時間以内、排尿後、座位で1〜2分安静にして、上腕に巻く自動血圧計で1分間隔で2回測り、平均を記録します。同じ時間帯・同じ条件で継続することが、比較のコツです。

理想は朝夕の記録を2週間ほど続け、平均値で判断すること。家庭に血圧計がない方は、職場や薬局、公共施設のキオスク血圧計でも“朝の値”を意識できます。将来的にはウェアラブル機器やアプリ連携も活用が進みます
が、まずは記録を始めることが第一歩です。

生活対策は小さな積み重ねが効きます。JSHが推奨する“10のヒント”を要点に絞って紹介します。

①減塩(目標1日6g未満、麺類のスープは残す)

②野菜350g+果物200g+低脂肪乳でカリウムを増やす

③体重管理(BMI25未満へ)
④有酸素30分または筋トレ20分を習慣化(週合計200分を目標)

⑤節酒(男性20〜30mL、女性10〜20mLの純アルコール/日目安)

⑥禁煙・加熱式も含めゼロに

⑦室温18℃以上を目安に寒さ対策

⑧睡眠6〜8時間で質を確保

⑨便秘予防(いきみは血圧上昇の引き金)

⑩ストレス緩和(静かな時間、軽い運動、交流でリラックス)

できる項目から始めましょう。

これらを行っても朝の平均が130mmHg以上なら、早めに受診を。糖尿病、腎疾患、睡眠時無呼吸、大量飲酒、薬剤(消炎鎮痛薬など)も高血圧の背景になります。自己判断で薬を中断せず、記録を持参して相談してください。

【医療機関での治療とデジタル活用】

医療機関ではJSH2025の方針に沿って、患者さんごとの合併症や年齢をふまえ、降圧目標と薬剤選択を調整します。ACE阻害薬・ARB、Ca拮抗薬、利尿薬などを組み合わせ、家庭血圧に基づいて“朝の達成”を重視していきます。

家庭血圧や24時間自由行動下血圧(ABPM)を組み合わせると、夜間高血圧や早朝血圧上昇が見つかり、薬の種類や飲むタイミングの最適化に役立ちます。近年はデジタル療法や遠隔モニタリングも進歩し、AIを用いた予測や個別最適化の研究も進んでいます。

治療の目安としては、生活改善を並行しつつ、朝の収縮期130mmHg未満を目標に。合併症のある方や高齢の方は、医師と相談のうえ安全域を見極めます。“ときどき高い”より“毎朝安定して低い”ことが、事件予防の鍵です。

受診の目安は、

①朝の平均が130mmHg以上が続く

②頭痛・動悸・息切れなどの症状がある

③家族に脳卒中や心筋梗塞の既往がある——などです。ためらわず早めにご相談ください。

さいごに。朝に強い身体は、一日の安心につながります。血圧計と記録を味方に、できる対策から始めましょう。それが、ご自身と家族の未来の健康を守る最短ルートです。

【当院からのお知らせ】那覇市の「シーサー通り内科リハビリクリニック」では、家庭血圧のつけ方指導、減塩と運動の実践アドバイス、睡眠や便秘を含む生活習慣の見直し、必要に応じた薬物治療まで、ワンストップで支援します。

脳神経内科・リハビリも併設し、脳卒中後の再発予防や歩行・バランス訓練、認知症予防の取り組みもご相談いただけます。朝の血圧が130mmHg以上続く方は、お気軽にご相談ください。

引用

  • Kario K, Nishiyama A, Shibata S, et al. The JSH Morning Hypertension Eradication Program Project. Hypertension Research. 2025. doi:10.1038/s41440-025-02330-9(本文リンク): https://doi.org/10.1038/s41440-025-02330-9