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ブルーベリーと認知症予防:高齢者の記憶力を支える最新エビデンスと実践ポイント
【はじめに】
高齢の方やご家族から「食事で脳を守れますか」とよく相談されます。注目の一つがブルーベリーです。抗酸化成分アントシアニンが豊富で、心血管の健康に良いことは知られていますが、記憶への効果はどうでしょうか。最新の系統的レビューを踏まえ、エビデンスの要点と日常に取り入れるコツを、医療者にも一般の方にも分かるように解説します。
【結論と根拠:どの認知機能に効く?】
2025年Biogerontology誌のメタ解析は、軽度認知障害(MCI)や主観的認知低下の高齢者におけるブルーベリー摂取の効果を検証しました。9件513人のRCTを統合した結果、エピソード記憶は小〜中等度の改善(標準化平均差SMD=0.34)を示し、MCI群では言語記憶も有意に改善(SMD=0.30)しました。一方で、処理速度・認識記憶・視空間学習・作業記憶の有意差は確認されず、効果は領域特異的と考えられます。つまり「万能」ではありませんが、「体験を思い出す力(エピソード記憶)」で前向きなシグナルが見られます。再現性と長期持続の確認には多施設試験が今後も必要です。過去の無作為化試験でも、フリーズドライ粉末24g/日(生果約1カップ相当)を約12週間〜6か月摂取し、言語学習や一部のスピード指標に改善が示されています。量が現実的で、日常に取り入れやすい点も魅力です。
【なぜ効くの?アントシアニンと脳の仕組み】
ブルーベリーの主成分アントシアニンはポリフェノールの一種で、抗酸化・抗炎症作用により神経細胞のストレスを軽減し、シナプス可塑性や血管機能を支えて記憶回路を後押しすると考えられています。尿中アントシアニン代謝産物の量と認知パフォーマンスが関連した報告もあり、体内動態と効果のつながりが示唆されます。ただし吸収率には個人差があり、腸内環境や遺伝的要因が関わる可能性があります。したがって、効果の大きさは「少し良くなる人が一定数いる」という現実的な期待値で捉えるのが妥当です。
【【実践ガイド:量・タイミング・組み合わせ】】
■量の目安:臨床試験で用いられた代表的設定はフリーズドライ粉末24g/日=生果約1カップ。まずは「1日1カップ相当」を90日ほど続け、体調と認知の手応えを見ましょう。無理のない頻度で、冷凍果も可です。
■食べ方:食後にヨーグルトやオートミール、サラダ、スムージーに混ぜると続けやすいです。糖質が気になる方は無糖ヨーグルトやナッツと合わせ、血糖の急上昇を抑えます。
■食事全体:MIND食・地中海食の枠組み(魚、野菜、全粒穀物、オリーブ油、ナッツ)と組み合わせると、脳血管・代謝の総合的メリットが期待できます。サプリよりまず食品からが原則。
■安全性:ブルーベリー自体の重篤な有害事象は稀ですが、嚥下障害や食欲低下がある方は、食形態調整や水分補給など基本的な栄養管理を優先します。認知症の栄養・水分管理はガイドラインに沿い、個別支援を徹底しましょう。薬剤との相互作用は少ないとされますが、抗凝固薬内服中など心配があれば主治医に相談してください。
【まとめ:今日からできる三つのポイント】
①生または冷凍のブルーベリーを「1日1カップ相当」を目安に、まずは12週間継続。効果は記憶領域に出やすいと期待。
②MIND食・地中海食の考え方を取り入れ、魚・野菜・全粒穀物・良質な油脂と組み合わせる。
③嚥下や栄養の課題がある方は、食形態・水分・総カロリーの確保を優先し、必要に応じて専門職に相談する。
【よくある質問】
Q. サプリと生果はどちらが良い?
A. 原則は生果・冷凍果です。試験では粉末やジュースも用いられますが、食物繊維や微量成分も摂れる食品形態が実践的です。粉末を使う場合は品質管理が明確な製品を選びましょう。
Q. どれくらいで効果が出ますか?
A. 試験では12週間〜6か月で評価されることが多いです。短期の体感には個人差が大きい点をご理解ください。
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【参考文献(主要ソース・リンク)】
・da Silva ABN, et al. Blueberries for brainpower. Biogerontology (2025). DOI: https://doi.org/10.1007/s10522-025-10308-w
・Miller MG, et al. Dietary blueberry improves cognition among older adults. Eur J Nutr (2018). DOI: https://doi.org/10.1007/s00394-017-1400-8
・Cheatham CL, et al. Wild blueberries and speed of processing in MCI. Nutr Neurosci (2023). DOI: https://doi.org/10.1080/1028415X.2022.2117475
・Krikorian R, et al. Blueberry supplementation improves memory. J Agric Food Chem (2010). DOI: https://doi.org/10.1021/jf9029332
・Hein S, et al. Systematic review of blueberry and cognition. J Gerontol A (2019). DOI: https://doi.org/10.1093/gerona/glz082
・Volkert D, et al. ESPEN guideline on nutrition and hydration in dementia (2024). Clin Nutr. DOI: https://doi.org/10.1016/j.clnu.2024.04.039 ――――――――――――――――――――――――――――――
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