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脳神経内科認知症

認知症の寿命はどれだけ縮む?男女差・MCI・主観的物忘れまで専門医が解説

【認知症と寿命の基礎:キーワード=寿命低下・男女差・年齢】
認知症は進行性の脳の病気で、平均余命(あと何年生きられるか)を短くします。
最新の大規模研究では、同年齢の一般人口と比べ、認知症では余命の減少が顕著でした。
特に60歳で診断された場合、女性は約17年、男性は約13.5年の余命を失うと推定されます。この「女性の方が余命の損失が大きい」という傾向は、加齢とともに差が縮むものの持続します。背景には診断時期の差(女性は遅れやすい)、教育機会の世代差、病型や生物学的要因が絡みます。一方で、診断後の“生存年数”は女性が男性より長いことが多く、ここが誤解の元になりがちです。「長く生きるが、一般人口との差は女性の方が大きい」—この二つをセットで理解しましょう。

【MCI・SCDの位置づけ:キーワード=MCI(軽度認知障害)・SCD(主観的物忘れ)】
MCIは「日常はほぼ自立だが検査で軽い認知低下」を示す状態で、将来の認知症リスクが上がります。研究ではMCIでも余命は短くなり、60歳時点で女性は約11.6年、男性は約10.9年の損失が推定されます。高齢になるほど損失は小さくなる傾向ですが、65歳以降では女性の方が損失がやや大きくなりました。SCDは「検査は正常だが物忘れが気になる」段階。余命の損失は小さいものの、ゼロではありません。特に高齢女性では差が目立つ年代があり、背景にプレ臨床期の病理が潜む可能性も指摘されています。つまり、「気のせい」で片づけず、生活習慣の見直しと定期的な評価で早めに手を打つことが重要です。MCIやSCDの段階は“伸びしろ”の時期。運動・血圧糖質管理・睡眠最適化で進行抑制を狙いましょう。

【実践と相談のコツ:キーワード=予防・合併症管理・意思決定支援】
まずは診断の正確さが要。記憶検査だけでなく、画像や採血、生活機能評価を組み合わせて判断します。余命情報は脅かすためでなく、今後の暮らしを“具体化”する材料。医療・介護・お金の計画に役立ちます。女性で損失が大きく出やすい背景には教育年次差や発症年齢差など社会的要因もある点を理解しましょう。治療は病型ごとに最適化。アルツハイマー病では抗アミロイド薬の可否、脳血管性なら血管危険因子管理。
併存症(高血圧・糖尿病・不眠・うつ)を整えると、転倒や入院を減らし、生活の質と予後の両方に効きます。家族と一緒に「何を大切に生きたいか」を確認し、運転・就労・財務・意思表示(ACP)を早期に整理します。

結論:診断名だけでなく“余命の見通し”を活かせば、治療と生活デザインはもっと納得感のあるものに。

— 参考・引用(リンク可)—
Amland R, et al. Sex differences in life expectancy in dementia, MCI, and SCD. Alzheimer’s & Dementia: DADM. 2025.
https://doi.org/10.1002/dad2.70177


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