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MASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)とは?放置すると危険な理由
◆ MASLD(代謝異常関連脂肪性肝疾患)とは?放置しないために知っておきたい基本ポイント
MASLD(Metabolic Dysfunction–Associated Steatotic Liver Disease)は、
これまで「NAFLD」と呼ばれていた疾患の新しい名称です。
肝臓に余分な脂肪がたまり、生活習慣病と深く結びついて発症します。
世界の30〜40%の成人が持つとされる、非常に身近な病気です。
自覚症状は乏しい一方、進行すると肝硬変や肝がんだけでなく、
心筋梗塞・脳卒中・特定のがんのリスクを高める ことが知られています。
そのため、早い段階で気づき、対策することがとても重要です。
この記事では、MASLDについて最新エビデンスにもとづき、
原因・診断・治療の3つの観点からわかりやすく解説します。
【① MASLDの原因と特徴:なぜ脂肪が肝臓にたまるのか?】
MASLDは「代謝」に関わる複数の要因が重なって発症します。
代表的なのは次の5つです。
- 肥満・内臓脂肪の増加
- 血糖値の異常(糖尿病・前糖尿病)
- 高血圧
- 中性脂肪が高い・HDL低値
- 年齢・男性性・遺伝要因
特に、糖尿病患者の約60〜70%、肥満では70〜80%がMASLDを合併すると報告されています。
また、肝臓に脂肪がたまるだけの状態を「単純性脂肪肝」、
炎症を起こし進行している状態を「MASH(旧NASH)」と呼びます。
進行すると以下の順に重症化します。
脂肪肝 → MASH → 線維化 → 肝硬変 → 肝がん
さらに近年の研究では、MASLDが 心血管疾患・腎疾患・がん・不整脈 とも関連することが明らかになっています。
【② MASLDの診断:エコー・血液検査で早期発見ができる】
MASLDの診断は、生活習慣の状況と画像検査を組み合わせて行います。
■ 腹部エコー
最もよく使われる検査で、肝臓の輝きが増す「脂肪沈着」を評価します。
■ FIB-4指数(血液検査)
年齢・AST・ALT・血小板から算出し、
肝線維化(進行度)のリスクを簡単に推定できる 指標です。
- 1.3未満:線維化リスクが低い
- 1.3〜2.67:中間
- 2.67以上:進行リスクが高い
多くの国際ガイドラインで「まずFIB-4を使う」ことが推奨されています。
■ 硬さを測る検査(エラストグラフィ)
肝臓の硬さを測り、線維化の進行度を詳細に評価できます。
■ 肝生検
必要な場合のみ行われる最終的な診断法です。
検査は比較的簡単で、早期発見が十分可能です。
健康診断で「脂肪肝」や「肝機能異常(AST/ALT上昇)」を指摘された方は、
一度しっかり評価することをおすすめします。
【③ MASLDの治療:生活改善+新薬で“治る肝臓”へ】
MASLD治療の中心は 生活改善と体重管理 です。
■ 体重5%減:脂肪肝改善
■ 7〜10%減:MASH改善・線維化改善
と明確なエビデンスがあります。
食事
- カロリーを抑える
- 脂質・糖質をとりすぎない
- 地中海食は特に有効(野菜・魚・オリーブオイル中心)
運動
- 週150分の中等度運動
- ウォーキング・ジョギング・自転車など継続しやすい運動が最適
医療的介入
近年、MASHを改善する薬剤が登場しています。
■ レスメチロム(Resmetirom)
肝臓の脂肪・炎症・線維化を改善する新薬。
■ セマグルチド(Semaglutide)
GLP-1作動薬で、
MASHの改善+体重減少+血糖改善 の多面的な効果が期待されます。
いずれも「中等度〜高度線維化のMASH」が対象で、
今後さらに治療の選択肢が広がる見込みです。
◆ MASLDは“生活習慣病の集大成”。だからこそ早期対策が重要です
MASLDは静かに進行する病気ですが、
適切な介入により 改善・寛解できる疾患 でもあります。
- 健康診断で脂肪肝を指摘された
- 肝機能が少し高い
- 糖尿病・高血圧・脂質異常症がある
- お腹周りが気になってきた
という方は、一度医療機関で精密な評価を受けてみてください。
◆ 参考文献(引用元)
- JAMA. “Metabolic Dysfunction–Associated Steatotic Liver Disease in Adults: A Review.” 2025.
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当院では、脂肪肝・糖尿病・高血圧・脂質異常症 を含む生活習慣病の専門的管理を行っています。
腹部エコー、血液検査、生活習慣改善の指導、薬物治療まで一貫して対応可能です。
「健診で脂肪肝を指摘された」「肝機能が気になる」という方は、
どうぞお気軽にご相談ください。
