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脳神経内科認知症

笑うことが認知症・うつを防ぐ?高齢者3万人調査で分かった“笑い”の健康効果」

【笑いと健康】
年齢を重ねると、体だけでなく心の健康も気になってきます。特に「うつ病」は、高齢
者では10〜20%が発症するとされ、生活の質を大きく下げる病気です。近年、そんなう
つ病を予防する“身近な習慣”として注目されているのが「笑い」です。今回紹介する研
究は、日本の高齢者3万人以上を6年間追跡した大規模研究で、笑いの頻度とうつ病の関
係を詳しく調べたものです。

【研究の概要】
この研究は「Japan Gerontological Evaluation Study(JAGES)」と呼ばれる大規模調査で
す。65歳以上の高齢者32,666人を対象に、2016年から2022年までの6年間追跡しました。
参加者に「どれくらい笑っていますか?」と質問し、「ほぼ毎日」「週1〜5日」「月1〜
3日」「ほとんど笑わない」の4段階に分類しました。そして、6年後に新たに“うつ状態
になったか”をGeriatric Depression Scale(高齢者抑うつ尺度)で評価しました。

【笑いが少ないほど、うつ病のリスクが上昇】
結果はとても興味深いものでした。「ほぼ毎日笑う人」を基準とすると、「週1〜5日」の
人は約1.25倍、「月1〜3日」の人は約1.26倍、「ほとんど笑わない人」はなんと1.49倍
も、うつ病を発症するリスクが高いことが分かりました。笑いの頻度が下がるほどリス
クが上昇する“用量反応関係”が確認され、笑いが心の健康を守る可能性が強く示されま
した。

【なぜ笑いでうつが減るのか?】
笑いには、いくつかの科学的メリットがあります。まず、笑うとストレスホルモンであ
るコルチゾールが低下し、自律神経のバランスが整いやすくなります。また、自然免疫
を担うNK細胞の働きが高まり、体の防御力も上がると考えられています。さらに、笑い
は「社会的つながり」を強め、孤独感を減らす効果があります。友人や家族との会話の
中で生まれる自然な笑いは、心を軽くし、心理的負担をやわらげてくれます。こうした
生理的・心理的な働きの積み重ねが、うつ病の予防につながると考えられます。

【毎日の暮らしで“笑い”を増やすコツ】
笑いは「作り笑い」であっても効果があると言われていますが、特に健康効果が大きい
のは「誰かと一緒に笑うこと」です。家族との会話、友人との食事、地域活動、趣味の
サークルなど、“人とつながる場”に参加することが、笑いの回数を自然に増やします。
また、テレビのお笑い番組やコメディ映画を観ることも気軽にできる方法です。無理に
頑張る必要はなく、「ちょっとした笑顔を増やすこと」から十分に始められます。

【高齢者のメンタルヘルス対策としての笑い】
今回の研究は観察研究であるため、「笑うと必ずうつ病を防げる」と断言できるわけで
はありません。しかし、笑いが心身へのポジティブな効果を持つことは、多くの研究か
ら確かめられつつあります。特に高齢者では、家族構成の変化や身体機能の低下により
孤立しやすく、笑う機会が減りやすいことが課題です。意識して「笑いのある生活」を
取り入れることは、心の健康づくりの大きな一歩になるでしょう。

【まとめ】
・笑いが少ないほど、うつ病のリスクは最大1.49倍に上昇する
・笑いはストレス軽減、免疫機能の強化、社会的つながりの強化に効果的
・特に「人と一緒に笑うこと」が最も効果的
・高齢者のメンタルヘルス対策として“笑い習慣”は手軽で持続しやすい
日常の中でほんの少し意識するだけでも、笑いの回数は増やせます。今日からできるこ
ととして、身近な人との会話やコミュニケーションを少しだけ増やしてみるのはいかが
でしょうか。

【参考文献(リンク付き)】

Tamada Y, Saito M, Ohira T, et al. Frequency of laughter and depression onset among
older adults: A 6-year longitudinal study from the JAGES.
Journal of Affective Disorders.
2026;392:120209.
https://doi.org/10.1016/j.jad.2025.120209

【シーサー通り内科リハビリクリニックより】

当院では、脳神経内科専門医によるうつ病・認知症・生活習慣病の総合的ケアを行
っています。脳の健康、心の健康、身体の健康をトータルでサポートし、リハビリ・栄
養・生活指導まで丁寧に対応いたします。気になる症状がありましたら、どうぞお気軽
にご相談ください。