ブログ

リハビリテーション科脳神経内科認知症

認知症は“動いて”防ぐ時代へ──最新研究でわかった運動の最適タイミング

【はじめに】
認知症を予防する方法として「運動」はよく知られていますが、実は“どの年代での運動が最も効果的か”はあまり明確ではありません。今回ご紹介する最新のフラミンガム研究(JAMA Network Open, 2025)では、青年期・中年期・高齢期という3つの年代での身体活動が、将来の認知症にどのように影響するかを詳しく調べています。本記事では、一般の方にも分かりやすいように、この研究の要点と生活に役立つポイントをまとめました。

【1.中年期・高齢期の運動が最も認知症予防に効く】

研究では、対象者の身体活動量を「体力指数(PAI)」という指標で評価し、5段階のグループに分けて30年以上追跡しました。その結果、中年期(45〜64歳)と高齢期(65〜88歳)で身体活動が多いほど、認知症リスクが大きく減っていたことが分かりました。

中年期で最も活動量の多いグループ(上位20%)は、最も少ないグループ(下位20%)に比べて、
認知症リスクが約41%低下(HR 0.59)

高齢期でも同様に、活動量が多いほどリスク低下が見られ、
約45%のリスク減少(HR 0.55) が報告されています。

一方で、青年期(26〜44歳)の活動量は認知症リスクに有意な影響を与えていませんでした。これは、発症が何十年も先になるため、サンプル数が足りなかった可能性も指摘されています。それでも、若い頃の運動が心血管病予防やメンタルヘルスに良い影響を与えることは間違いありません。

つまり、
認知症予防に最も効果的なのは「中年〜高齢期の運動」
と言えます。

【2.どれくらいの強さの運動が効果的?】

研究チームは、軽い・中くらい・強い運動に分けて分析も行いました。その結果、中年期では「中強度〜強度の運動」が特に効果的であることが分かりました。

中等度の運動(速歩き、軽いジョギングなど)
→ 認知症リスクを約35〜38%低下

強い運動(ランニング、筋トレなど)
→ リスクを34%低下

一方で、高齢期では“強さ”よりも“継続”が大切で、軽い運動でもリスク低下が見られる点が大きな特徴です。
ウォーキングや軽い体操など、体に負担の少ない活動でも十分に効果が期待できます。

【3.なぜ中年期と高齢期の運動が効くのか?】

研究では、いくつかの理由が考えられています。

脳の血流を守る
身体活動は脳の血管を健康に保ち、海馬(記憶をつかさどる部位)を保護します。

慢性炎症を抑える
運動には身体の炎症を抑える効果があり、神経細胞のダメージを減らすと考えられています。

生活習慣病の予防
高血圧・糖尿病・脂質異常症などは認知症リスクを高めるため、運動による予防が認知症の発症抑制につながります。

ストレス軽減と睡眠の質向上
心と身体のストレス対策も、脳の健康に直結します。

こうしたメカニズムにより、特に中年期・高齢期の運動が認知症リスクを減らすと考えられています。

【まとめ】

今回の研究では、
最も認知症予防に効果が大きいのは中年期・高齢期の運動
中年期は中程度〜強度の運動が特に効果的
高齢期は軽い運動でも十分に効果あり
という重要な結果が示されました。

これから運動を始める方は、「遅すぎる」ということはありません。今日の10分のウォーキングが、未来の脳を守る大きな一歩になります。

【引用情報】

Physical Activity Over the Adult Life Course and Risk of Dementia.
JAMA Network Open. 2025;8(11):e2544439.
doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.44439

【当院からのお知らせ】

シーサー通り内科リハビリクリニック(那覇市)では、
● 認知症予防外来
● 脳神経内科(頭痛・めまい・物忘れ)
● リハビリテーション
● 健康診断・生活習慣病管理
などを行っています。

運動習慣の作り方や、認知症予防の具体的なアドバイスもお気軽にご相談ください。
公式LINEから24時間予約可能です。