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リハビリテーション科感染症

コロナ後遺症に筋トレは効く?最新研究でわかったことロングCOVIDを乗り越える筋トレ習慣:歩行距離と心の健康アップ

【コロナ後遺症で続く「だるさ」と筋力低下】

コロナ感染から数か月たっても息切れや強いだるさが続き
「前のように動けない」と感じている方は少なくありません。

このような症状は「ロングCOVID(コロナ後遺症)」と呼ばれ
世界中で多くの人が、日常生活の質の低下に悩まされています。

長く寝込んだり動かない時期が続くと、筋肉がやせてしまい
ちょっとした動作でも疲れやすくなる「サルコペニア」に近い状態になります。

筋肉量と筋力が落ちると、歩く距離が短くなるだけでなく
転倒しやすくなり、さらなる活動量の低下を招いてしまいます。

「動いた方がよいのはわかるけれど、無理をすると悪化しそう」
ロングCOVIDの患者さんから、よくこのような声を聞きます。

そこで今、注目されているのが「レジスタンス運動」
いわゆる筋トレを、体調に合わせて無理なく行うリハビリです。

【最新の臨床試験が示したレジスタンス運動の効果】

2025年に発表された臨床試験では、コロナ感染後1年以内で
症状が続いている233人を対象に、筋トレ介入の効果を調べました。

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参加者は、自宅や病院で3か月間のレジスタンス運動を行う群と
通常の診療のみを受ける群の2つにランダムに分けられました。

筋トレ群には、ベッド上・椅子座位・立位といった状態に合わせ
腕立て・スクワット・足の上げ下ろしなどのメニューが個別に指導されました。

運動は原則として毎日、少し息が上がる「ややきつい」程度を目安に
自分のペースで回数や負荷を調整しながら継続してもらいました。

その結果、3か月後の「インクリメンタルシャトルウォークテスト」
という歩行距離の検査で、筋トレ群は平均83メートル伸びました。

通常診療のみの群では47メートルの改善にとどまり
2群の差は約36.5メートルと統計学的に有意でした。

また、健康関連QOL(EQ-5D-5L)スコアも筋トレ群でより改善し
うつ・不安をみる質問票(PHQ-4)の点数も有意に低下しました。

握力も平均2.6キログラム増加しており、筋力そのものが
しっかり回復していることが示されたと言えます。

気になる安全性についても、介入による重大な副作用はみられず
入院が増えることもなく、比較的安全なプログラムと評価されました。

一方で、運動後に疲れがぶり返す「労作後倦怠感」は
両群とも8割以上にみられ、慎重なペース配分の重要性も示されました。

【自宅でできる安全な筋トレと始め方のポイント】

では、コロナ後遺症でお悩みの方が、実際に筋トレを始める時
どのような点に気をつければよいのでしょうか。

第一に大切なのは「今の自分のレベルに合わせること」であり
いきなりハードな運動に挑戦しないことです。

立って動くのがつらい方は、ベッド上での足上げや
椅子に座ってのもも上げ・つま先上げから始めましょう。

ある程度動ける方は、椅子からの立ち上がりをゆっくり繰り返す
スクワット、壁に手をついた腕立て伏せなどが良い入口になります。

回数は「あと3回なら頑張れるかな」と感じる強さを目安にし
最初の1週間は物足りないくらいの負荷で十分です。

週5日程度を目標に、体調が悪い日には迷わず休み
「続けること」自体を最優先にしましょう。

運動後にいつもより強い疲労感や息切れ、動悸、めまいが続く場合は
無理をせず、回数や頻度を減らし、医師に相談してください。

心臓病や重い肺の病気、コントロール不良の高血圧・糖尿病がある方は
自己判断で始めず、必ず主治医や専門医に相談してから行いましょう。

筋トレは、正しく行えば歩行距離や日常生活の動作を支える
「土台の筋力」と、気分や意欲の改善の双方に役立つ可能性があります。

ロングCOVIDで「もう元の生活には戻れないかも」と感じている方こそ
小さな一歩から、筋トレを取り入れてみてほしいと感じます。

【参考文献】

Berry C, McKinley G, Bayes HK, et al. Resistance Exercise Therapy After COVID-19
Infection: A Randomized Clinical Trial. JAMA Network Open. 2025;8(11):e2534304.
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/10.1001/jamanetworkopen.2025.34304

【当院からのお知らせ】

シーサー通り内科リハビリクリニック(那覇市銘苅)では
コロナ後遺症によるだるさ・息切れ・筋力低下でお困りの方に対し

内科・脳神経内科専門医とリハビリ専門スタッフが連携し
呼吸リハビリとレジスタンス運動を組み合わせた個別プログラムを提供しています。

「どこまで動いてよいのかわからない」「自宅でできる運動を知りたい」など

お悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。