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脳神経内科認知症

難聴は認知症の始まり?「聞こえ」と脳の老化の深い関係

【結論:難聴は耳だけでなく、脳の健康とも深く関係します】
年齢とともに聞こえにくくなるのは、自然な変化と思われがちです。
しかし最近、難聴が「脳の老化」と関係することが分かってきました。

単に会話が不便になるだけでなく、脳の働きや将来の認知症リスクにも
影響する可能性があるため、早めの対応が大切です。

【観点1:難聴と脳の変化】
聞こえにくさがある人の脳を画像で調べると、
脳全体のボリュームが小さくなりやすい傾向が見られました。

これは「脳がやせる」状態に近く、加齢による変化が
通常より早く進んでいる可能性を示しています。

また、脳の中の神経の通り道に細かなダメージが
増えやすいことも分かっています。

この変化は、脳の血管が年齢以上に弱っている
サインとも考えられています。

軽い難聴では自覚がほとんどないことも多く、
気づかないうちに脳への負担が続いている場合があります。

【観点2:難聴と考える力の低下】
認知症というと「物忘れ」を想像する方が多いと思います。
しかし難聴と関係しやすいのは、別の力でした。

それは「同時に考える力」や「段取りをつける力」です。
仕事や家事で、複数のことをこなす力にあたります。

聞こえにくいと、会話を理解するだけで
脳が多くのエネルギーを使ってしまいます。

その結果、集中力が続かない、疲れやすい、
会話が億劫になるといった変化が起こりやすくなります。

会話や外出が減ると、脳への刺激も少なくなり、
さらに脳の元気が落ちやすくなる悪循環に入ります。

【観点3:難聴と認知症リスク】
長期間の追跡調査では、軽い難聴がある人でも、
認知症になる割合が高いことが示されています。

特に、遺伝的に認知症になりやすい体質の人では、
難聴の影響が強く出る可能性がありました。

一方で注目されたのが補聴器の使用です。
補聴器を使っている人では、リスクの上昇が
比較的抑えられていました。

補聴器は「耳の道具」ではありますが、
結果的に脳の負担を減らしていると考えられます。

大切なのは、合わないまま我慢しないことです。
正しい調整と継続使用が効果を左右します。

【今日からできる対策】
テレビの音が大きいと言われたら、一つのサインです。
騒がしい場所で会話がつらい場合も注意しましょう。

まずは耳鼻科で聴力検査を受けることが大切です。
軽い難聴は、自分では気づきにくいからです。

必要があれば、補聴器を前向きに検討しましょう。
「年だから仕方ない」と我慢する必要はありません。

また、血圧や血糖の管理、運動、睡眠は、
耳と脳の両方を守る基本になります。

【まとめ】
難聴は、聞こえの問題だけではありません。
脳の老化や認知症リスクと関係する可能性があります。

早めに気づき、正しく対処することで、
将来の脳の健康を守れるかもしれません。

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シーサー通り内科リハビリクリニックでは、
物忘れ相談や脳卒中・認知症予防に力を入れています。

「最近聞こえにくい」「集中力が落ちた気がする」
そんな小さな変化でも、お気軽にご相談ください。

引用文献

Kolo FB, et al.
Hearing Loss, Brain Structure, Cognition, and Dementia Risk in the Framingham Heart Study
JAMA Network Open. 2025;8(11):e2539209.
https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2025.39209