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脳卒中後にみられる「痙縮(けいしゅく)」についての最新の知見
脳卒中後の後遺症として、「手足がつっぱる」「動かしにくい」「力が抜けにくい」といっ
た症状を感じる方がおられます。
このような状態の一つに、「痙縮(spasticity)」と呼ばれるものがあります。
今回は、アメリカ心臓協会およびアメリカ脳卒中協会が発表した、脳卒中後の痙縮に
関する科学的声明をもとに、その内容をご紹介します。
痙縮とはどのような状態か
痙縮とは、脳や神経の障害によって筋肉の緊張が高くなりすぎてしまう状態を指しま
す。筋肉が必要以上に緊張することで、「関節が動かしにくくなる」、「動作の途中で引
っかかるような感覚が出る」、「姿勢を保ちにくくなる」といった影響がみられることがあ
ります。脳卒中後の回復過程において、比較的早い時期から出現する場合もあると
報告されています。
今回紹介する論文について
今回ご紹介する論文は、脳卒中後の痙縮について、「どのように捉え、どのような点
に注意して評価していくか」を整理した科学的声明(Scientific Statement)です。
特定の治療方法の有効性を示すことを目的としたものではなく、これまでに報告され
てきた研究結果をもとに、医療者が痙縮を早期から認識するための考え方をまとめた
内容となっています。
痙縮の早期認識が重要とされる理由
論文では、痙縮は進行してから明らかになるのではなく、回復の過程の中で徐々に
現れることが多いとされています。
そのため、「動作や姿勢への影響が少しずつ出てくること」、「筋力低下や動きのぎこ
ちなさと重なり、分かりにくいこと」、「日常生活動作に影響する可能性があること」な
どを踏まえ、早い段階から身体の変化に注意を向けることの重要性が述べられてい
ます。
評価の視点について
痙縮の評価については、単に筋肉の硬さだけを見るのではなく、「手足を動かした際
の抵抗感」、「動作中の筋緊張の変化」、「姿勢や歩行など、実際の動きへの影響」と
いった複数の視点から観察することが紹介されています。数値や検査結果だけで判
断するのではなく、日常の動きの中でどのような影響がみられるかを確認することが
大切であると整理されています。
リハビリテーションとの関係
痙縮は、運動や姿勢、日常生活動作などと関連します。
論文では、痙縮の有無や変化を把握することが、リハビリテーションを進めるうえでの
情報の一つになり得ることが示されています。
一方で、どのような対応が適切かは、症状の程度や生活環境によって異なるため、
個別に検討する必要があることも述べられています。なお、アメリカ心臓協会/アメリ
カ脳卒中協会が公表している関連資料では、脳卒中後の痙縮に対して、ストレッチや
装具、経口薬、ボツリヌス毒素など、さまざまな選択肢が議論されています。
これらは患者さんの状態や経過に応じて検討されるものであり、個別の判断が重要と
されています。
まとめ
今回の論文は、脳卒中後の痙縮について、「どのような状態として捉えられているの
か」、「どのような点に注意して早期から観察するか」といった考え方を整理した内容と
なっています。
脳卒中後の症状や回復の経過は人それぞれ異なりますが、痙縮という状態について
理解を深めることは、身体の変化を知る一つの手がかりになると考えられています。
参考文献
Early Recognition and Intervention for Poststroke Spasticity:
A Scientific Statement From the American Heart Association
Stroke
DOI:10.1161/STR.0000000000000515
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STR.0000000000000515
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